2012年12月22日

イギリスのスーパードライ

日本でスーパードライといえば、某社のビールですが、イギリスではこれです。
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けっこう見かけます。イギリスで急成長中のブランドで世界中に進出している。創業者が日本に行ったときに受けたインスピレーションが、英語+日本語(または中国語、またはそれらモドキ)の文字を配置する独特のデザインを生み出したそうです。日本には未進出。某社ビールとの商標の問題があるのかしれない。
 
ロンドンの繁華街の旗艦店がこちら(Regent Street)。この差し向かいにはユニクロも出店している。
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イギリスの冬服の色は圧倒的に黒が多い。私はベージュ色のコートを着たアジア人なので、この中に入るとけっこう浮いているかもしれない。
 
ものはしっかりしているようで、けっこういい値段がする。ケンブリッジでポスドクをしているAさんはイギリス生態学会でジャンパーを着ていたが、私は断念。一番安いTシャツを購入した。旗艦店の3階はほぼTシャツだけで占められ、デザインには豊富なバリエーションがある。女物のタグでは、かわいく?「極ー度乾燥しなさーい」と伸びが入っている。伸ばしどころは日本語として不自然ではない。Tokyoもあるが、なぜかOsakaが多いのには、Japan=Tokyoというステレオタイプを乗り越えようとする意志を感じる。しかし、「優勝者?」という文字には単語としても字体にも違和感を禁じえない。総じて、違和感をもつ場合がほとんど。もし日本人がねらってやっているんだとするとすごいが、日本人はデザインに関与していないんだろうな、たぶん。日本でよくわからん英文をデザインに使っているのと同じで、収斂進化なんでしょうね。イメージ 2
念のため。これは自分用ではなく女房へのお土産用。
ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 08:37| ロンドン生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月21日

イギリス生態学会年次大会

ちょうどイギリスに滞在しているので、イギリス生態学会の年次大会に行ってきた。10年以上会員になっているが、出席したのは初めて。
 
開催期間は12月17-20日だが、17日は夜の歓迎会だけ、20日はランチタイムの前まで(~13:30)なので、実質2日半しかない。今年の会場はバーミンガム大学。下の写真はプレナリー(plenary, 全員出席の)講演の会場のようす。総会(General Annual Meeting)も同じ会場でおこなわれた。議事次第は日本生態学会大会の総会とよく似ている。ただし、各賞の授賞式は記念品授与だけで、受賞者の講演はプレナリーではなく、口頭発表のセッションに埋め込まれている。時間も15分で一般の講演者と変わらない。
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プログラムからざっと見積もったところ、口頭発表が400題、ポスター発表が150題程度。プログラムが印刷された時点での参加登録者数は800名とのこと。アメリカ生態学会大会よりもはるかにこぢんまりしている。日本生態学会大会と比べても規模は小さいのではないか、と思う。
 
ただ、日本生態学会大会の参加者がほとんど日本人だけであるのと違って、発表者の半分程度はイギリス人以外と思われる。こんなに外国人が多いのはイギリスが実質的な世界標準語である英語の母国であることが大きいでしょう。英米人(そして言語と文化の英米との共通性が高い欧米人)は生まれながらに有利、世の中って本当に不平等ですね。イギリスの大学院で勉強している外国人も多いし、ヨーロッパ各国(ドイツ、スウェーデン、スペイン、チェコなどが目立った)やアメリカ合衆国から来ている人も多い。アジアからだと中国人が一番多いように見えた。
 
日本人でイギリスに留学している大学院生が2人、ポスドクが1名口頭表していた。日本の大学に所属している発表者は6人(口頭1、ポスター5、うち2名は韓国・中国からの留学生)。2010年のアメリカ生態学会大会にくらべてずっと少ない。アメリカであろうがイギリスであろうが、海外でがんばっている日本人を見るのは心強い。環境が不平等と愚痴っていてもしょうがないので、自分で努力しないといけないですね。
 
口頭発表は質問時間を含めて一人15分で、日本・アメリカの生態学会と同じ。セッションごとに固定された司会者がいるのは、ATBCと同じ。日本とアメリカの生態学会大会では前の講演者が次の講演者を紹介するが、日本では前の講演者がそのまま次の講演の質問のときの司会者になるのに対し、アメリカでは次の講演者本人が司会者になる。日英米それぞれ違うのがおもしろい。午前と午後にお茶の時間(コーヒーも出ます)が30分程度確保されているのはイギリス独特。
ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 08:08| ロンドン生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月16日

キュー王立植物園植物標本館

仕事場のキュー王立植物園植物標本館(Herbarium, Royal Botanic Gardens, Kew)について。
 
キュー王立植物園はロンドンの西の郊外にある。行政上は、大ロンドン市(Greater London)の一部をなすリッチモンド・ロンドン特別区(London Borough of Richmond)に属する。ただし、郵便の住所表示はKew, Richmond, Surreyであり、ロンドンの南西にあるカウンティ(日本の都道府県のようなもの)サリーに属することになっている。リッチモンドはかつてサリーに含まれていて、ロンドンの市域の拡大に伴い大ロンドン市に編入されたという歴史的経緯がある。行政区分と郵便の住所が一致しないというのは日本ではありえないことで、日本人には理解しがたいが、イギリス人自身にとっても混乱のもとであるらしい。
 
ロンドンの地下鉄の料金はゾーン制で、ロンドン中心部がゾーン1、郊外に行くに従い、ゾーンの番号が大きくなっていく。最寄のキューガーデンズ駅はテムズ川の南、ゾーン3と4の境界に位置する。ヒースロー空港はさらに西のゾーン6にある。イメージ 7
地下鉄の駅名もそうだが、植物園の英語名はなぜか複数形。広大な敷地が複数の庭園からなるとみなしているということなのか?
 
キュー植物園の敷地の片隅にある赤レンガの建物が植物標本館。植物園は一般に公開(有料)されているが、標本館は原則研究利用のみ。ただし、事前予約すれば一般の人も見学できるようで、館内をガイドされる団体客をたまに見る。Admissions to visitors by appointment onlyと看板に書かれている。
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5つの棟(Wing)からなり、それぞれの棟は3~4階あるが、古い3つの棟は中央部が吹き抜けの独特の建物。棚と棚の間のスペースはbayと呼ばれ、作業用の机が置かれている。1つおきに机の下も棚になっているbayと普通の机が置かれたbayがあり、後者は研究者の個人作業スペースとして割り振られる。常勤の研究者は別に個室を持っていることが多いが、外来研究者はこのbayが個室代わりになる。
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植物標本は科→属→産地(大区分)→種→産地(小区分)という順に階層化されて棚に収納されている。赤いのはタイプ標本のフォルダー。
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これが地域の大区分を示した地図。キナバル山のあるのは6c('Malay Islands')で、マレシア区系のうち、マレー半島・フィリピン・ニューギニアを除いた部分。ボルネオ・スマトラ・ジャワ・スラウェシ・小スンダ列島・マルク諸島などが含まれる。ちなみに日本は中国と一緒になっている。いわゆる日華区系ですね。
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これはキナバル産のシャクナゲのタイプ標本(Rhododendron rugosum Low ex Hook. f.)。キナバル山に最初に登頂したHugh Lowが採集したもの。原記載論文に使われた原図がフォルダーに同封されていた。ツツジ科→ツツジ属→6c→Rhododendron rugosa種→ボルネオ・マレーシアサバ州というふうに階層を下っていく。最下層のフォルダーはサバ州になっていることが多い。その種のサバ州産の標本が多い場合は複数のフォルダーに分割される。逆に少ない場合はボルネオ、6c地域全体、あるいは6地域全体でまとめられてひとつのフォルダーに入っていることもある。
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一番上の階層は科。なので、科の見当がつかないと標本を探しようがない。近年になって分子生物学的手法の発達で科の範囲が大きく変わった場合がある。現在その新しい科の体系(APG体系)にあわせて、標本を移動させている最中。こちらが科の新旧対照表。たとえば上から2つめ、カエデ科(Aceraceae)はAPG体系ではムクロジ科(Sapindaceae)に含まれる。新しい科番号405というのがあるように、被子植物だけでも植物の科は400以上もあるので科の見当をつけるのは大変。
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標本館内は原則飲食禁止。唯一認められているのがティールーム。午前午後のお茶の時間にお茶を飲むほか、昼食持参の人はここで食事をする。標本相手の仕事の多くは個人作業なので、ティールームで顔をあわせて話をするのは大事な時間になっている。
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200人以上の科学者が雇用され、退職後も研究を続ける植物分類学者なども含めると、研究者だけでも324人に達する巨大な組織である。働いている人は男性より女性の方が多いのではないかと思う。研究者に限っても女性と男性の人数は拮抗しているだろう。ライデンやハーバードの標本館にくらべて女性の比率が高い。
ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 07:32| ロンドン生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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