2012年10月09日

デンドロセネシオ

キリマンジャロならではの植物を一つだけ選べ、となるとやはりこの植物でしょうか。学名は本によって違っていてよくわからないが、Wikipediaによるとキリマンジャロの高標高のものは、Dendrosenecio kilimanjari subsp. cottonii 。英名はgiant groundsel。花は10-20年に1回しか咲かないそうな。
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花序を拡大したところ。タンポポと同様の冠毛のついた種子がついていた。
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根もとを探すと種子が落ちていた。
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デンドロセネシオはロベリアと違って花が咲いたら死ぬというわけではない。よく見ると古い花序がぶら下がっているのを見かける。Wikipediaによると、花序は茎の先端に形成されるので、花が咲いた後は花序の脇にある複数の芽が新たに伸び始め、必然的に枝分かれすることになるらしい。確かに、一番手前に見える幹では、花序のところで枝分かれしているように見える。
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古い葉が落ちずに残って幹を保護しているように見えるが、これには保温効果があるのだろうか。デンドロセネシオの生えている3000m以上では沢の水も凍っている。葉が残っていない根元付近の幹では、その代わりに樹皮が発達しているように見える。イメージ 6
 
死んだ個体の幹を見るとちゃんと中まで木化している。樹木とみなして差支えないだろう。
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ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 22:21| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キリマンジャロの森林限界

キリマンジャロの森林限界は3000m付近にあり、意外に低い。気温だけで決定されているわけではないだろう。山地林の中央部で最大となった降水量はそれより標高が上がると減少していく。乾季にはほとんど雨が降らないので、年降水量から予想されるよりも乾燥の影響は大きく、山火事も起こりやすい。おそらく山火事がキリマンジャロの森林限界の形成要因として一番重要だと思われる。
 
西斜面(登山口は2400m)では山地林の下部ではPodocarpusが優占するが、2700m付近まで来ると森林が鬱閉しなくなり、大木に焦げ跡が見られるようになる。
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Forest Camp (2800m)を超えるとJuniperusが優占するようになるが、枯れた大木が残っているのを目にする。
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標高3000m付近で急に森林が終わり、ヒースへと移り変わる。移行部にはJuniperusの稚樹が生えている。森林の上限が少しずつ前進しているように見える。一番右手前に生えているのはEricaで、ここからヒースとなる。
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森林限界からしばらく進んだ3100m付近。完全にヒースの中だが、振り返ると尾根の上にJuniperusが1本だけ生えている。山火事で焼け残ったのか、森林からの種子散布で新たに生えたものなのか、どちらだろうか?
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西斜面の森林限界を上から眺めたところ。はるか下方の茶色っぽいところはサバンナだが、それより上では斜面の森林からShira Plateauのヒースへと急に移り変わっているのがわかる。不連続な変化のしかたはスコットランドの森林限界に似ている(https://vegetation.seesaa.net/article/a14002989.html)。スコットランドは放牧の影響の可能性もあるが、やはり山火事のせいかもしれない。
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南斜面でもMweka Campのすぐ下の3000m付近で多雨林からヒースへと急激に変化する。湿潤な南斜面にはJuniperusは出現せず、森林限界に近づくとPodocarpusに樹高10mほどのEricaが混じるようになり、やがてEricaの純林となって樹高が5m以下となり完全なヒースになる。
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南斜面の森林限界を上から見たところ。西斜面よりはヒースの樹高が高く、徐々に森林からヒースに移行しているように見える。Mweka Camp(3080m)のレンジャー・ステーションの屋根が見えている。
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乾燥した西斜面と湿潤な南斜面で森林限界の高さは変わらず3000mである。ただし、西斜面ではPodocarpusの優占は2800mで終わるので、もし西斜面にJuniperusが存在しなければそこが森林限界になっていたかもしれない。乾燥した西斜面ではPodocarpusとEricaの間に乾燥した条件でも高木になれるJuniperusが入り込むことで、南斜面より乾燥した条件にありながら、森林限界の高さが南斜面と同じになっているのかもしれない。
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 20:46| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キリマンジャロの針葉樹

キリマンジャロの山地林には2種の針葉樹が出現する。
 
南斜面にも西斜面にも出現するのが、マキ科のPodocarpus latifolius。日本のイヌマキにそっくり。
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podo = leg、carpus = fruitという名のとおり、果実(厳密には仮種皮に包まれた種子)が果托(receptacle)の上に着くようすが、果実に足が生えているよう。植物学的には果托の部分は球果が変形したものである。つまり、通常の球果ではマツかさの奥に隠れている種子の一つだけが飛び出して、球果の先にくっついた状態になっている。果実は液果で鳥によって散布される。
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英名はYellow-wood。その名のとおり材が黄色い。
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乾燥した西斜面の森林限界付近にだけ生えているのが、ヒノキ科のJuniperus procera。メル山の東斜面でも見かけた。孤立して生育すると、樹形がきれいな円錐形になる。
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Juniperusの果実もPodocarpusと同様に液果であり、種子が鳥によって散布される。ただし、植物学的には、JuniperusとPodocarpusの液果の構造は異なっていて、Juniperusの液果では球果の松かさが閉じたまま(種子を内部に含んだ状態のまま)融合し、全体が柔らかくなったものである。同じヒノキ科で枝葉の様子はそっくりでも、Cupressus(イトスギ)、Chamaecyparis(ヒノキ)などの属は通常の松ぼっくり状の乾いた球果となる。
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Juniperの英名は、African Pencil Cedar。かつて鉛筆の材料として利用されたらしい。アメリカ東部のJuniperus virginiana (Eastern Red Cedar)と同じである(https://vegetation.seesaa.net/article/a5634980.html)。
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Podocarpusはゴンドワナ大陸で進化し、東アジアでは日本南部にまで進出した。一方、Juniperusはローレシア大陸で進化し、南半球にまで進出しているのはアフリカだけである。キリマンジャロでは、西斜面でPodocarpusとJuniperusが共存するが、このようにゴンドワナ起源の針葉樹とローレシア起源の針葉樹が共存しているのは世界的にも珍しい。たとえば、屋久島ではローレシア起源の針葉樹(スギ・モミ・ツガ)は高標高に出現して針葉樹林の優占種となるが、ゴンドワナ起源の針葉樹(イヌマキ・ナギ)は低標高の照葉樹林の構成種となり、両者が同じ森林で共存することはない。
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 19:47| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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