2012年10月16日

メル山

キリマンジャロの西50kmにメル山という火山がある。南麓にはアルーシャという町があり、タンザニア北部の観光拠点となっている。キリマンジャロのせいで目立たないが、山頂の標高は4562mもあり、キリマンジャロ登山の前に高山病対策(高度馴化)のため登られることも多いらしい。
 
南のアルーシャからは富士山のようなきれいな円錐形に見える。
イメージ 1
 
しかし、東から見ると細長い。キリマンジャロが東西に長いのとは対照的にメルは南北に長い。山頂部は雲の中だが、右側にLittle Meru Summit (3800m)というピークが見えている。
イメージ 2
 
キリマンジャロに登ったときにはメルの山頂部が見えた。
イメージ 3
 
模型にするとこんな感じ。東から見たところ。この模型は高さがかなり誇張されている。手前側の湖が点在する東麓部(標高1500~1600m程度)は国立公園(アルーシャ国立公園)として保護されている。赤い線は公園内をめぐる道路。一番手前にンゴロンゴロ・クレーターを小さくしたようなカルデラ(Ngurdoto Crater)が見える。
イメージ 4
 
アルーシャ国立公園はアルーシャから車で40分。草原・サバンナ・森林などのアフリカの多様な生態系を手軽に見ることができる。公園のゲートを過ぎてすぐにリトル・セレンゲティという草原があり、シマウマやウォーターバックがいる。周囲には山地林が広がる。
イメージ 5
 
ンゴロンゴロ・クレーターのミニチュアのようなNgurdoto Crater。周囲の森林にはコロブスが、内部の草原にはバッファローがいた。
イメージ 7
 
サバンナにはキリン(giraffe)がいる。キリンはアカシアの葉が好物だという。ンゴロンゴロ・クレーターには樹木が少なすぎてキリンはいない。
イメージ 6
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 04:23| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月15日

ンゴロンゴロ・クレーター周辺の地形

ンゴロンゴロ・クレーターは火山が陥没してできたカルデラである。周辺には多数の火山があり、40km北東のオルドノ・レンガイ山は活火山である。150km東にはメル山、さらに200km東にはキリマンジャロがある。これらの火山はアフリカ地溝帯(African Rift Valley)に沿って存在している。
 
メル山のふもとの町アルーシャからンゴロンゴロに向かう途中、地溝帯の一部をなす大断層Gregory Rift Wallを横切る。下の写真で正面に見えているのが断層の崖。
イメージ 1
 
断層の下にはムニャラ湖という塩湖がある(標高960m)。湖の北側は地下水に依存した森林地帯となっている。断層を上る道路からムニャラ湖北岸の森林を見下ろしたところ。
イメージ 2
 
ムニャラ湖の北側にはMto-wa-Mbuという町があり、水田やバナナ畑が広がる。ここで生産された農産物はアルーシャへと出荷される。背後に断層崖が見える。ムニャラ湖の北側の森林や耕作地が依存する地下水の水源はンゴロンゴロ周辺の山地林である。
イメージ 3
 
ンゴロンゴロ・クレーター入り口ゲートの展示ジオラマ。手前の平地にムニャラ湖があり、そのすぐ左(西)側にGregory Rift Wallの断層崖がある。断層崖の向こう側の山地の白線で囲まれた部分が、ンゴロンゴロ保護地域。ムニャラ湖の北から赤い線で示された道をたどっていくとンゴロンゴロ・クレーターに至る。クレーターの中にMagadi湖があるのがわかるだろうか。クレーターは保護地域のごく一部にすぎない。
イメージ 4
 
保護地域外側のクレーター南麓(標高1200m程度)は耕作地帯になっている。かなたに見えるのはクレーターの北東にあるLolmalasin山(3648m)。
イメージ 7
 
クレーターの部分を拡大したジオラマ。カルデラ底平坦部の直径は約20km。世界最大の出口のない、水で満たされていない(unbroken and unflooded)カルデラである。
イメージ 5
 
ンゴロンゴロ・クレーターの縁(外輪山の山頂部、crater rim)に最初に到達した地点(上のジオラマの一番下=南の三叉路)からのクレーター内の眺め。カルデラ底にMagadi湖が見え、その向こうには北側の外輪山が見える。
イメージ 6
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 04:23| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ンゴロンゴロ・クレーターの生態系

キリマンジャロの200kmほど西にンゴロンゴロ・クレーター(Ngorongoro Crater)という場所がある。クレーターと呼ばれているが、隕石や小惑星が落下した跡(impact crater)ではなく、火山の中央部が陥没してできたカルデラ(caldera, volcanic crater)である。乾燥しているため侵食が進まず、カルデラ壁には切れ目がない。キリマンジャロと同様、降水量は東方のインド洋から供給される水蒸気に依存する。そのためインド洋からの東風のあたるカルデラ外輪山の南~東斜面は降水量が多いが、カルデラの内部や外輪山の北~西斜面は乾燥する。この降水量条件に対応した多様な生態系が見られる。
 
キリマンジャロとンゴロンゴロ・クレーターの間の標高1000m程度の平原地帯には乾燥した草原~ウッドランドが広がる。ウッドランドにはバオバブが生えている。
イメージ 1
 
イメージ 2
 
タンザニア北部の観光拠点の町アルーシャからは、ンゴロンゴロへは南斜面から入る。外輪山の外側南斜面標高1500m付近にゲートがあり、そこで手続きをしてから外輪山の上に向かう。ゲートの周辺には山地林が広がる。
イメージ 3
 
外輪山の上には放牧地と山地林がモザイク状に分布する。観光用の宿泊施設も散在する。写真はゲートからクレーターの縁に最初に到達した三叉路からクレーターの外側南斜面を見たところ。標高2200m。はるか下方に茶色く見えるのは外輪山南麓の耕作地帯。
イメージ 13
 
南側外輪山は湿っているので、樹木にはコケがつき雲霧林の様相を呈する。
イメージ 14
 
東側外輪山の頂上付近はやや乾燥したウッドランドとなっていた。優占するのはマメ科のAcacia属。標高2300m付近。
イメージ 4
 
外輪山の西側に向かうと、rain shadowとなるため乾燥が著しくなる。外輪山の頂上付近(標高2400m)からカルデラ外側の西側斜面を見たところ。Mount Makarotが見える。
イメージ 5
 
2200mから西側外輪山の内側斜面を見たところ。やはり乾燥しているがサボテン状のEuphorbiaが生えているのが特徴的。
イメージ 6
 
カルデラの内部に下りると一面に草原が広がっている。ヌーやシマウマの群れが砂埃をあげて移動しているのが見える。カルデラ底の標高は約1700m。
イメージ 7
 
湿った外輪山斜面から供給される水分により川が流れている。川沿いにだけ樹木が生えている。
イメージ 8
 
川はカルデラ内の一番低いところに集まり塩湖となる(Lake Magadi)。乾季なので水がかなり引いている。湖畔は塩分濃度が高すぎて植物は生えられないようだ。
イメージ 11
 
外輪山に近くて地下水位の高い場所には森林~ウッドランドが発達し、ゾウの住処となる。
イメージ 9
 
森林を背後に草原でくつろぐライオンのペア。さらに背後には東側外輪山の内側斜面が見える。東側で湿っているので多少は樹木が生えている。イメージ 10
 
森林~ウッドランドの中には部分的にトゲがある低木(これもマメ科のAcacia属)が密集している場所もあった。枝が白く見えているのはトゲが日光を反射しているため。教科書で言うところの「トゲ低木林(thorny shrubland?
)」というのはこういうのをさすのだろうか?
イメージ 12
 
アフリカのサバンナ・草原というと暑いイメージがあるが、標高1700mなので朝は肌寒いぐらい。同じぐらいの標高 (1624m) のナイロビの年平均気温は19℃で、屋久島とほぼ同じ。乾燥は降水量が少ないためであり、サバンナが成立するためには必ずしも気温が高い必要はない。ンゴロンゴロ・クレーターの100km北西には有名なセレンゲティ国立公園があるが、その標高も1300~1660mであり、ンゴロンゴロより少し低いだけである(http://www.americanscientist.org/issues/issue.aspx?id=838&y=0&no=&content=true&page=4&css=print)。日本の動物園のライオンやゾウは冬は寒くて大変だろうとなんとなく思っていたが、意外に平気なのかもしれない。
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 00:43| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。