チルターン丘陵は花の名所でもある。放牧地として維持されている草原には色とりどりの花が咲く。地質が石灰岩であることも重要で、石灰岩地に分布が限定される種も多い。
Common rock-rose (Helianthemum nummularium)。石灰岩草地に特徴的な種。アジアには分布しないハンニチバナ科(Cistaceae)に属する。ハンニチバナ科は環大西洋分布(ヨーロッパ・アフリカ・南北アメリカ)を示し、おそらくゴンドワナ大陸で起源した。フタバガキ科と近縁で、ともに外生菌根をつけることから、ゴンドワナ大陸に存在したフタバガキ科とハンニチバナ科の共通祖先が外生菌根との共生関係を確立したと考えられている(共立出版「森林生態学」の第1章Box参照のこと)。

Field scabious (Knautia arvensis) マツムシソウ科(Dipsacaceae)。キク科と同じように多数の小さい花が集合した頭花をつける。APG分類体系ではマツムシソウ科とキク科はともにキク亜綱に位置する。ただし、マツムシソウ科はキク科よりも、頭花を持たないスイカズラ科やオミナエシ科とより近縁である。

Small scabious (Scabiosa columbaria)。これもマツムシソウ科。

ヤエムグラのなかま(アカネ科)。Hedge bedstraw (Galium mollugo)

これもヤエムグラのなかまで、Lady's bedstraw (Galium verum)だと思う。日本には白花の種しかないと思う。イギリスでも花が黄色いのは本種のみのようだ。

ラベル:生物学