2012年11月06日

ダウンランドにおけるハリエニシダの分布

イギリスのチョークでできた丘陵地帯を総称してダウンランドという。ロンドンの北のチルターン丘陵、南の南北ダウンなどである。チョークは未固結の石灰岩であり、その上に形成される土壌はふつうアルカリ性になる。したがって酸性土壌を好むハリエニシダやヘザーは基本的にはダウンランドには生育しない。
 
ただし、チョークの上にたまたま別の堆積物が乗っていると、そこには酸性土壌が形成されハリエニシダなどが生育できる。
 
たとえばチルターンでは丘陵上の平坦面にclay-with-flintと呼ばれる堆積物があり(https://vegetation.seesaa.net/article/a14195536.html)、そこにはハリエニシダが生育していることがある。チルターンのチョーク上の森林土壌のpHは7~8であるのに対し、clay-with-flint上の土壌pHは4~5である(Watt 1934)。clay-with-flintがある場所は平らで水はけが悪く、歩道はぬかるんでいる。
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冬になるとブナやサンザシは黄葉・落葉するが、ハリエニシダは常緑なのでよく目立つ。上の写真と同じ、Ivinghoe Beaconの南にあるSteps Hill(標高235m)にて。下の平野(標高125m)に水車が見える。
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サウスダウンのセブンシスターズ付近には、風成土のレス(loess)が局所的に存在する。手前の崖で黄色の部分がレス。ヨーロッパのレスは氷河から流れ出る川によって供給された堆積物が、冬になって川の水がなくなった時に風に運ばれて二次的に堆積したものだという(Proceedings of the Geologists' Association
Volume 89, Issue 1, 1978, Pages 57–65)。中国の黄砂もレスだが、黄砂の場合は砂漠の砂が供給源。
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そこへ行ってみると常緑のハリエニシダが生えていた。黄色い花をつけている個体もあった。向こうに見えるセブンシスターズの上にはハリエニシダはないので、低木林は落葉している。
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セブンシスターズのほうからは、こう見えるらしい (http://www.geograph.org.uk/photo/457986)。
 
ノースダウンのドーバー・ホワイトクリフでも、Langdon Holeという窪地には、ハリエニシダが生えていた。たぶんそこにはレスがあるのだろう。
 
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ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 05:15| イギリスの自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月05日

セブンシスターズ

サウスダウンはイングランド南部海岸沿いに帯状に続くチョークの丘陵地帯である。サウスダウンが海岸に達しているのはブライトン周辺の約50kmであり、チョークの白い崖が連続する。その中で一番有名なのがセブンシスターズである。
 
ブライトンの町から東を見たところ。写真には海が写っていないが、右(南)側が海岸。向こうにチョークの海岸が見える。
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ブライトンから1時間ほどバスに乗り、20km東にあるシーフォードという町まで行く(鉄道でも行ける)。そこからさらに東へ海岸沿いにセブンシスターズに至る遊歩道がある。遊歩道をしばらく行って西側を振り返ったところ。シーフォードの街が手前に見え、その向こうにブライトンとの間のチョークの崖が見える。
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さらに進むと東にセブンシスターズが見えてくる。シーフォードとセブンシスターズの間の岬はSeaford Headという。岬の上は平らな草原でゴルフ場になっている。写真に写っている人々はゴルファー。
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岬を越えてセブンシスターズのほうへ下っていく。崖のとがった部分が7つあるのでセブンシスターズという。7つ数えられますか?
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7つ数えたと思った方は、間違ってます。正しくは以下のビジターセンターの解説のように一番右(灯台のあるBeachy Head)は含めず、一番左に2人(Haven BrowとShort Brow)いるんです。次女のShort Browは見た目にはわからない。1年あたり30~40cmずつ侵食が進んでいるので、かつては次女の存在はもっとはっきりしていたのかもしれない。
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セブンシスターズの近くまでやってきた。崖の高さは約90m。長女だけが見え、妹たちは見えない。Beachy Headは7人姉妹たちよりずっと突き出ているので、姉妹に含めないのに納得。
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この先には川があり、橋がないので崖の上や真下には行けなかった。川沿いにビジターセンターまで行きそこでバスに乗りブライトンへ戻った。逆にビジターセンターから川を渡らずにセブンシスターズの真下や崖の上に行くと西側にはいけないので、全景を見ることはできない。1日に両方のコースは難しいので、どちらかを選ぶしかないでしょうね。
 
 
 
 
ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 05:56| イギリスの自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月29日

ドーバーのホワイトクリフ

ロンドンの南にあって東西に伸びる丘陵地帯ノースダウンは、未固結の石灰岩(チョーク、白亜)でできている。その東端に位置する町がドーバーである。ノースダウンの丘陵がそのまま海岸に達しているので、海岸はチョークの白い崖になっている。英語ではその名もホワイトクリフ(White Cliffs)という。複数形なのは、崖が何kmにもわたって連続していて、部分ごとに異なる名前がついているためである。
 
ドーバーの西にある高台(Western Heights)の上から東を見たころ。ドーバーの町の向こうの高台の上にドーバー城がある。その右(南)側に白い崖(Eastern Cliff)があり、その下にドーバー海峡連絡船の港がある。トンネルができた現在でもカーフェリーは繁盛しているようだ。
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港の内陸側にちょっとだけ住宅街がある。そこからEastern Cliffを見上げたところ。写っている建物はレンガでできているが、駐車場の壁の一部にチョークから取れるフリント(チョークの形成過程にできるケイ素に富む岩石、火打石)が使われている。崖の中腹に窓があるが、おそらくドーバー城の地下にある二次大戦中の英軍司令部トンネルの一部だと思う(時間がなくて見学できず)。崖の上にある展望台は、やはりドーバー城の敷地内にあるAdmiralty Look-out。
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そのAdmiralty Look-outからさらに東を見たところ。手前にEastern Cliffの崖があり、一番向こうにLangdon Cliffsが見える。Langdon Cliffsはナショナルトラストの所有地でビジターセンターがあり、観光客が多く訪れる。
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そのLangdon Cliffsの上まで来たところ。崖の上に芥子粒のように人が見える。
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崖をよく見ると地層の横縞が見える。黒っぽい線状の部分はフリントが混じっている部分。
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白いチョークに黒いフリントが混じるようす。
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チョークは柔らかくて建築材にはなりえない。緑色の部分にはコケ(または藻類?)が生えている。
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ダウンランド(地質がチョークの地域)の建物でよくあるように、ドーバー城にもフリントが使われている。古い建物ほどフリントの割合が多い。新しい建物ではほかの石材やレンガも使われている。下の写真は日本の城の天守閣に相当するGreat Tower。改修されているのでフリントの割合はそんなに高くないが、最上部はほぼフリントだけでできている。
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Great Towerの壁の一部を拡大したところ。辞書によるとkeepは「天守閣」とのことなので、Great Towerと同義なのでしょうね。ここではフリントは大きな石の間を埋めるようにして使われている。
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古い門では主要な石材のひとつとしてフリント(全体は黒っぽくて角が白い)が使われていた。
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 この日は視界がよく、高台からフランスが見えた。
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ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 05:50| イギリスの自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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