2011年05月28日

アジサイ

気象庁によると5月23日ごろ、九州南部が梅雨入りした。「ごろ」というのは以下の理由による。「気象庁では、気象予測をもとに行う梅雨の入り明けの速報とは別に、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討を行っています。この資料に掲載した期日は、検討の結果、統計値として確定したものです。http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/baiu/index.html)」今年は平年より8日早いらしい。アジサイの季節がやってきた。
 
大学では堀田満名誉教授が植えたトカラアジサイが咲いている。大学が改修を繰り返すたびに移植され、雑草と間違って刈り取られ等、、散々な目にあって、今では1株だけがキョウチクトウの根元になんとか残っている。5月3日に撮影した写真なので、もう1ヵ月近く咲いている。
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『日本の野生植物』によると、「ヤクシマアジサイに似るが、葉の柄がやや短く、葉身は厚く、鋸歯は3-6mmである。」なお、ヤクシマアジサイの葉柄の長さは「8-26mm」、鋸歯の長さは「4-8mm」である。この個体だけ見ると鋸歯は長さだけでなく密度がヤクシマアジサイと違う印象がある。ヤクシマアジサイの鋸歯は『日本の野生植物』で「あらい鋭尖頭の鋸歯」と書かれているとおり、かなりまばらである。上の写真のトカラアジサイは、下の写真のヤクシマアジサイに比べると、鋸歯の数が多いように見える。
 
こちらがヤクシマアジサイ。2007年6月27日屋久島で撮影。確かに葉柄も長い。
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ツルになるアジサイは世界でも珍しい。日本のツルアジサイのほかには南米に1種あるだけのようだ。下の写真は、やはり屋久島で2007年6月27日撮影。
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こちらはイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides)。やはりツルなのだが、アジサイ(Hydrangea)とは属が違って、装飾花の花弁が1枚しかない。普通花の花柱も違うらしく、イワガラミでは花柱が1個に合着するの対し、アジサイ属では花柱が2~3個で離生する。これまた屋久島で2007年6月27日撮影。
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 ツルアジサイとイワガラミは花がないと見分けにくいが、ツルアジサイのほうが鋸歯が細かい。樹皮も違ったように記憶する(ツルアジサイはオレンジ色で縦に裂ける、イワガラミは灰色で平滑)。
 
アメリカの庭先で見たアジサイはこちら。
ラベル:生物学
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2011年04月02日

カエデ

大学に植えられている奄美諸島産カエデ2種が現在開花中。カエデは性表現が複雑なことが知られる。
 
まず、クスノハカエデ(Acer oblongum var. itoanum)。沖永良部島以南、台湾までの石灰岩地に生える。なんと常緑のカエデ。東南アジア熱帯に分布するAcer laurinumによく似ている。与論島の実習に行った学生が苗木を持ち帰って植えたものだという。
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花序は花時には上向き。種子が実るころには垂れ下がる。。「日本の野生植物」によると雄性同株(1つの株に雄花と両性花がつく)で、そこに載っている写真を見ると、花序ごとにまとまって雄花と両性花がつくようだ。先が2裂した柱頭が白く見えるので、これは両性花序。
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こちらは、奄美大島と徳之島だけに分布するシマウリカエデ(Acer insulare)。落葉性で、ヤクシマオナガカエデやウリハダカエデに似た雰囲気(同じウリカエデ節とされる)。
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本種では花の時から花序が垂れ下がる。「日本の野生植物」には雌雄異株と書いてある。2個体植えられているが、先が2つに割れて先端が反りかえった花柱があるので、両方とも雌株のようだ。雄蕊に見えるものは、機能していない「退化雄蕊」らしい。
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あと1種、アマミカジカエデという最近新種として記載された超希少種も植えられている。奄美大島の1か所に数個体が生育するのみ。大学に植えられているのは、堀田満名誉教授が現地で採集した種子から育てたもの。落葉樹で新芽は赤い。植えた場所が悪いのかなかなか大きくならない。なので、花実は未見。
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後記(2014年3月28日):2013年から開花し始め、2014年にはかなり立派な花をつけた。https://vegetation.seesaa.net/article/a16243253.html
 
残念なことに大学にある3本のクスノハカエデすべてにはテッポウムシが入っている。園芸業者に2週間ほど前駆除してもらったが、一番被害がひどかった木ではまだ生き残っているようで、穴から新鮮な木屑が出ていた。テッポウムシ用の殺虫剤が市販されているようなので、自分でも処置してみようかと思っている。灰色の部分は、テッポウムシに食われた部分を園芸業者が取り除いた跡で、接ぎ蝋のようなものが塗ってある。私は園芸に関しては素人なので判断しかねるが、ずいぶんな荒療治である。この灰色の部分は幹を一周しているように見えるので、もしそうだとすると維管束が切断されていることになり、枯死するのではないかと心配している。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 06:10| 日本の(で見た)植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月25日

サクラ

3月23日、鹿児島・宮崎・大分・長崎でサクラ(ソメイヨシノ)が開花したと気象庁が発表した。今年は日本でソメイヨシノの開花が一番早かったのは静岡で3月20日であった。熊本では3月21日、福岡と佐賀では3月22日に開花したので、これで九州全県で開花したことになり、平年に比べ2~4日早い(鹿児島は3日)。
 
ソメイヨシノの開花が各地の年平均気温の順番と異なるのは以下のような理由による(気象庁ホームページhttp://www.data.jma.go.jp/sakura/data/cb/sakura.html)。
さくらの開花は、春先の気温が高ければ早まり、気温が低ければ遅くなります。しかし温暖な地方では、秋から冬にかけての気温が高めに経過すると休眠打破が充分に行われず、春先の気温が高く経過しても、さくらの開花がそれほど早くならないという性質があります。
奄美・沖縄ではソメイヨシノではなく、カンヒザクラ(ヒカンザクラ)の開花が対象とされる。今年は、那覇で1月7日、石垣島と宮古島で1月17日、南大東島で1月24日、名瀬で1月30日に開花している。
 
鹿児島でも、カンヒザクラは立派に開花する(カンヒザクラはサツマザクラともいうらしい)。今年は2月下旬に大学で開花していた(写真は2月28日理学部で撮影)。「寒緋桜」という名のとおり花期が早く、まだ寒い冬のうちに咲き、色が赤い(緋色)。花の形も釣鐘状で独特。
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同じく2月下旬にカンヒザクラとヤマザクラの雑種と推定されるカンザクラも開花していた(やはり2月28日理学部で撮影)。ヤマザクラより花期が早く、色も赤みが強い。
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同じころ、うちのベランダでサクランボの木、セイヨウミザクラが満開だった(2月26日)。
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通勤路のマンションの庭先でしばらく前から満開になっていたサクラ(3月25日撮影)。
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調べてみると、これもカンヒザクラ(タイワンヒザクラ)が片親の雑種で、ヨウコウザクラというらしい。もう一方の親はオオシマザクラとエドヒガンの雑種「アマギヨシノ」。花期がやや早く、花の赤みが強く、下向きに咲くところがカンヒザクラから受け継いだ形質と思われる。
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なお、アマギヨシノは オオシマザクラとエドヒガンの雑種なので、ソメイヨシノと同じ起源をもつ。そもそも、ソメイヨシノの起源の研究のため作出されたという。
ヨウコウザクラを作ったのは、愛媛県「伯方の塩」の初代社長らしい。http://www.hakatanoshio.co.jp/shintyaku/detail.php?rec=71
 
カンヒザクラを片親に持つ品種で、有名なのがカワヅザクラ。カンヒザクラとオオシマザクラの雑種だとされる。こちらはカンヒザクラと同じぐらい花期が早い。鹿児島でも何か所かに植えられれているが、今までその存在を知らなかった。今になって見に行ったが、とっくに花は終わっていた(3月28日)。葉の鋸歯が激しいところがオオシマザクラに似ている。
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農学部正門横のヤマザクラの大木は今が満開。3月25日撮影。
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ソメイヨシノは開花し始めたばかりなので、ヤマザクラのほうが花期が早い。ソメイヨシノでは花が葉よりも先に出るのに対し、ヤマザクラでは花と葉が同時に出る。ただし、ソメイヨシノも満開を過ぎると葉が出てきて「葉桜」になる。ヤマザクラの葉はふつうこのように赤っぽい(ただし、個体差があり、ほとんど赤くないものもある)。萼片には鋸歯がなく、萼片から花柄まで毛が全くない。そして、個々の花柄のおおもとの総花柄がはっきり見えているのが特徴。
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理学部周辺には正体のはっきりしないサクラが多数ある。葉と花が同時に出ているところはヤマザクラ的である。しかし、萼片に鋸歯があり、花柄にはうっすら毛が生えていて、総花柄も見えていないので、ヤマザクラそのものではない。堀田満名誉教授が、ソメイヨシノとヤマザクラの雑種と考えたものではないかと思われる。紫原の桜並木の中から種子をとって育てたものを学内に植えこんだそうだが、花にはいろいろな変異があるそうである。3月25日撮影。
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この個体は花に白から淡いピンクまでの変異があり、特に美しい。
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で、肝心のソメイヨシノはこちら。萼片から花柄まで毛が生えている。この写真でははっきりしないが、萼片の縁には鋸歯がある。3月28日工学部電気電子工学科。だいぶ花数が増えてきた。
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これは、花と葉が同時に出て、花柄も萼も無毛で萼片に鋸歯があり、葉の鋸歯の先が針状に伸びているので、オオシマザクラではないかと思われる。3月29日工学部海洋土木工学科。
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エドヒガンのシダレザクラ。エドヒガンはソメイヨシノの片親で、鹿児島の大口市の山奥に巨木がある。子房がぷっくりふくれるのが特徴で、萼から花柄まで毛が生えている。4月11日撮影。ソメイヨシノはもう葉桜になりつつある。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 21:55| 日本の(で見た)植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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