ホワイトマウンテンズの気象データ。
North Conway(北緯44°標高161m)、ホワイトマウンテンズの南麓に位置する
| Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec | Year |
T | -8.3 | -6.8 | -0.8 | 5.5 | 12.3 | 17.4 | 20.2 | 18.8 | 14.1 | 7.9 | 1.9 | -5.2 | 6.4 |
R | 90.1 | 87.6 | 93.7 | 104.3 | 102.1 | 100.8 | 95.5 | 101.8 | 87.3 | 104.9 | 125.7 | 116.5 | 1210.8 |
Mount Washington(北緯44°標高1908m)
| Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec | Year |
T | -15.6 | -15 | -10.6 | -5.3 | 1.5 | 6.5 | 9 | 8.2 | 4.6 | -0.9 | -6.3 | -12.8 | -3 |
R | 201.6 | 217.4 | 227.8 | 207.5 | 190.7 | 198.6 | 179.8 | 209.2 | 187.4 | 182.6 | 263.6 | 246.8 | 2513.5 |
麓の気候は、ちょうど同じ緯度にある旭川に似ているので、山の気候は大雪山に似ているだろう。
旭川(北緯44°標高112m)
| Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec | Year |
T | -8.4 | -7.5 | -2.5 | 5 | 11.5 | 16.2 | 20.4 | 20.8 | 15.4 | 8.6 | 1.5 | -4.3 | 6.4 |
R | 74.8 | 56.4 | 55.2 | 55.7 | 68.8 | 74.7 | 112.5 | 140.3 | 138.5 | 110.1 | 113.3 | 99.7 | 1100.9 |
ホワイトマウンテンズ最高峰、ワシントン山の植生は以下のように分類されている。
610m(2000feet)以下 北方広葉樹林(northern hardwood forest)
610~760m(2000~2500feet) 移行帯(transition zone)
760~1220m(2500~4000feet) トウヒ・モミ帯(Spruce-fir forest)
1220~1370m(4000~4500feet) バルサムモミ帯(balsam fir forest)
1370~1460m(4500~5400feet) クルムホルツ帯(Krummholz zone)
1460m(5400feet)以上 高山帯(Alpine zone)
ここで、クルムホルツ帯とはバルサムモミ林が強風低温条件下で矮性化したものをさす。
2000feetより低くても、低い山の山頂部には針葉樹林が出現するし、下部斜面でも局所的にマツやツガが優占することがある。また、クルムホルツ帯になると、森林はもはや連続的に分布しなくなり、標高があがるにつれ断片的になっていく。そこで、下から上への順にざっくりと次のように分類することにする。
610m(2000feet)以下 広葉樹林帯(移行帯や局所的針葉樹林を含める)
610~1370m(2000~4500feet) 針葉樹林帯(=亜高山帯、バルサムモミ帯を含める)
1370m(4500feet)以上 高山帯(クルムホルツ帯を含める)
この写真は自動車道入り口から山頂を見たところ。山頂は、一番高いようには見えないが、左奥に見えている。入り口は1600feetなので、上の植生帯すべてが自動車沿いで見れる。写真でも、広葉樹林が針葉樹林に移り変わっているのはよくわかる(もっとも、低標高の森林は二次林なので、自然にそうなっているのではないかもしれない)。
大雪山の植生は、低標高から山頂部にかけて以下のように変化する(環境省)。
下部広葉樹林帯
針葉樹林帯
ダケカンバ帯
ハイマツ帯
これらに加えて山頂部の高山帯には、風衝矮性低木群落と雪田植物群落が存在する(沖津)。なお、ダケカンバ帯の上限を森林限界(亜高山帯と高山帯の境界)とし、ハイマツ帯を高山帯に含める見解もある。
ワシントン山と大雪山の垂直分布の基本的なパターンは同じである。ただし、山頂部の植生が異なる。ワシントン山では針葉樹林帯から森林限界まで、バルサムモミ(balsam fir、Abies balsamea)1種が優占し続けるが、大雪山では針葉樹(トドマツAbies sachalinenisとエゾマツPicea jezoensis)→ダケカンバ→ハイマツと優占種が入れ替わる。大雪山ではトドマツとエゾマツ両種が針葉樹林帯の上限まで出現するが、ワシントン山では高い標高でRed spruce(Picea rubens)が脱落する。ワシントン山でもカバノキ属は森林限界近くまで分布するが、優占種にはならない。ハイマツのように森林限界近くまで分布するマツ属も存在しない。そのかわり、ワシントン山の高山帯には、大雪山と同様の低木群落・雪田植物群落のほかに、草原群落(優占種はスゲ科とイグサ科)も広く存在する。
グレートスモーキーでは、標高1370m(4500feet)以下が落葉樹林帯、1830m(6000feet)までが移行帯、それ以上が針葉樹林帯で、高山帯は存在しなかった(最高峰は6642feet=2024m)。移行帯を落葉樹林帯に含めて針葉樹林帯の下限を比較すると、グレートスモーキー(北緯36度)で1830m(6000feet)、ワシントン山(北緯44度)で610m(2000feet)となり、緯度8度(距離に換算すると約900km)の変化にともなってワシントン山で1220mも下降していることになる。
posted by なまはんか at 06:44|
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