ウッドランド(woodland)は、降水量が少ないため樹木の密度が低く、林冠がまばらなため林床一面が草原になっている森林を指す。乾燥が激しくなるにつれ、ほとんど樹冠が鬱閉した状態から、樹木が点在するサバンナへと移行していく。
これは北部海岸山地の東部クリアレイク(Clearlake)湖畔のウッドランド。落葉性のカシ2種が地形を棲み分けて優占する。手前の草原(meadow)は湖が陸化しつつあるところだと思われる。その背後の斜面がウッドランドになっている。湿った草原との境界部の山裾に沿って生えていて、新緑が鮮やかなのはValley oak(Quercus lobata)。カリフォルニア産カシの中でもっとも大きくなる。最大の個体は直径2.8m、樹高50mに達するという。それより上の斜面では、樹冠が青っぽいBlue oak(Q. douglasii)が優占する。ところどころ突き出ているのは、Ghost pine(Pinus sabiniana)。地中海性気候の硬葉樹林というと常緑のイメージだが、ここでは優占種は落葉性。夏にほとんど雨が降らないのに落葉樹が優占するのは意外だが、霧が水分を供給しているのかもしれない。なお、クリアレイクの年降水量は696mm、年平均気温は13.6℃。
斜面のBlue oakが優占するウッドランドの中はこんな感じ。中央奥にGhost pineの樹冠もちょっと見える。外から見るよりも、木がまばらな感じがする。林床にはイネ科草本が一面に生えている。
降水量が少ないとこのようなサバンナになる。これはクリアレイクのすぐ東のBear Valleyから、東側のセントラルバレーの方を向いて撮った写真。きれいに北斜面のほうが樹木の密度が高くなっている。一番近い気象観測点(Williams)のデータでは年降水量413mm。
これはBear Valleyの中で東を向いて撮った写真。手前は牧場なので、斜面がサバンナになっているのは放牧の影響もあるかもしれない。ここでもきれいに北斜面のほうが樹木の密度が高い。
なので、同じ場所から北を向いて撮影すると禿山に見え・・・
南を向いて撮影すると緑の丘に見える。
ラベル:生物学