シエラネバダの山越えの道は何本かあるが、峠の標高が最も高いのがヨセミテ国立公園を横断するTioga Road (最高点3031 m = 9945 feet)。5月には積雪のためまだ開通していなかった。今回の訪問でTioga Roadを走ることができたので、シエラネバダの西斜面から東の山すそのグレートベースンに至る植生の推移について紹介する。
シエラネバダの西、セントラルバレーに位置するフレズノ(標高102m)からState Highway 41でシエラネバダに向かう。最初はカシとGray pine (Ghost pineまたはDiggar pineとも言う、Pinus sabiniana)が優占するウッドランド。赤く点在する低木は夏季落葉樹(summer-deciduous)のCalifornia buckeye (Aesculus californica)。

中腹にさしかかるとPonderosa pineポンデローサマツ(Pinius ponderosa)が出現する。

ヨセミテ国立公園入り口付近の中標高針葉樹林。標高約1500m (5000feet)。ポンデローサマツ、white fir (Abies concolor)、incense ceder(Calocedrus decurrens)が優占種。ジャイアントセコイアもこの標高に出現する。

ヨセミテバレー(標高1200m = 4000feet)を通過し、いよいよ山越えのTioga Roadに入る。上記3種はなくなり、Red fir (Abies magnifica)がほぼ純林を形成する。

やがて、氷河に侵食された高原状の地形となる。Olmsed Point(標高2500m=8200feet)からHalf Dome (2693m=8836feet)を見たところ。手前中央やや左に一本Red firが見えるが、優占種は二葉松のLodgepole Pine (Pinus contorta)。幹は白っぽくほとんど平滑。

これが峠のTioga Pass。標高3031 m (9945feet)。ここまで通ってきた高原状の地形が背後に見える。9月下旬だが、ところどころまだ雪が残っていた。

峠を越えて東斜面を2400m(8000feet)まで下ってから、振り返ったところ。東斜面はRain shadowになっている上に急斜面のため、ほとんど植生がない。土壌の発達した谷間にJeffrey Pine(Pinus jeffreyi)が生えている。

もうすぐグレートベースンの支谷Owens Valleyの、Bishop(標高4147 feet)の町に着く。左奥の谷底に緑が広がっているところがBishop。手前のサバンナに生えているのは一葉松のPinyon (Pinus monophylla)。

FresnoからBishopまでの道のりは224マイル(360 km)。鹿児島から九州自動車道に乗ると下関までの道のりに相当。なお、今回はこれを含めて4日間で1100マイル(1770 km)をひとりで運転した。鹿児島から高速道路を乗り継いでいくと、秋田まで到達する。窓を開けて走っていたら途中で焦げ臭いにおいがして、オーバーヒートかと思い焦った(エコノミータイプを借りたらオイルの温度計がついていなかった)。車をとめて点検すると、タイヤのゴムが磨り減るにおいだった。
ラベル:生物学