2010年09月28日

大地形と植生:シエラネバダ~グレートベースン

シエラネバダの山越えの道は何本かあるが、峠の標高が最も高いのがヨセミテ国立公園を横断するTioga Road (最高点3031 m = 9945 feet)。5月には積雪のためまだ開通していなかった。今回の訪問でTioga Roadを走ることができたので、シエラネバダの西斜面から東の山すそのグレートベースンに至る植生の推移について紹介する。
 
シエラネバダの西、セントラルバレーに位置するフレズノ(標高102m)からState Highway 41でシエラネバダに向かう。最初はカシとGray pine (Ghost pineまたはDiggar pineとも言う、Pinus sabiniana)が優占するウッドランド。赤く点在する低木は夏季落葉樹(summer-deciduous)のCalifornia buckeye (Aesculus californica)。イメージ 1
 
中腹にさしかかるとPonderosa pineポンデローサマツ(Pinius ponderosa)が出現する。
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ヨセミテ国立公園入り口付近の中標高針葉樹林。標高約1500m (5000feet)。ポンデローサマツ、white fir (Abies concolor)、incense ceder(Calocedrus decurrens)が優占種。ジャイアントセコイアもこの標高に出現する。
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ヨセミテバレー(標高1200m = 4000feet)を通過し、いよいよ山越えのTioga Roadに入る。上記3種はなくなり、Red fir (Abies magnifica)がほぼ純林を形成する。
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やがて、氷河に侵食された高原状の地形となる。Olmsed Point(標高2500m=8200feet)からHalf Dome (2693m=8836feet)を見たところ。手前中央やや左に一本Red firが見えるが、優占種は二葉松のLodgepole Pine (Pinus contorta)。幹は白っぽくほとんど平滑。
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これが峠のTioga Pass。標高3031 m (9945feet)。ここまで通ってきた高原状の地形が背後に見える。9月下旬だが、ところどころまだ雪が残っていた。
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峠を越えて東斜面を2400m(8000feet)まで下ってから、振り返ったところ。東斜面はRain shadowになっている上に急斜面のため、ほとんど植生がない。土壌の発達した谷間にJeffrey Pine(Pinus jeffreyi)が生えている。
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もうすぐグレートベースンの支谷Owens Valleyの、Bishop(標高4147 feet)の町に着く。左奥の谷底に緑が広がっているところがBishop。手前のサバンナに生えているのは一葉松のPinyon (Pinus monophylla)。
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FresnoからBishopまでの道のりは224マイル(360 km)。鹿児島から九州自動車道に乗ると下関までの道のりに相当。なお、今回はこれを含めて4日間で1100マイル(1770 km)をひとりで運転した。鹿児島から高速道路を乗り継いでいくと、秋田まで到達する。窓を開けて走っていたら途中で焦げ臭いにおいがして、オーバーヒートかと思い焦った(エコノミータイプを借りたらオイルの温度計がついていなかった)。車をとめて点検すると、タイヤのゴムが磨り減るにおいだった。
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 03:12| Comment(0) | カリフォルニアの植生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月25日

タマルパイス山

森林とチャパラルが、また、森林の中でも異なる樹種が、モザイク状に分布する様子がよくわかるのが、タマルパイス山。山頂の標高は784mしかないが、周辺に高い山がないため眺望がすばらしい。ミューア・ウッズのすぐ北側に位置する。というか、タマルパイスの南斜面の大きな谷間がミュアウッズと言ったほうがわかりやすいかもしれない。サンフランシスコから車で1時間以内で行ける。 
 
これがタマルパイスの北麓。左下の谷がミュア・ウッズ。茶色っぽい樹冠がレッドウッドで、深緑色の樹冠がダグラスファー。谷にレッドウッド、尾根にダグラスファーと棲み分けているように見える。標高の高い尾根部はチャパラルになっている。
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これはタマルパイスの北斜面を上から見下ろしたところ。やはり谷にレッドウッド、尾根にダグラスファーと棲み分けているのがわかる。手前の斜面は草原になっている。山火事のせいだろうか?
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これがタマルパイスの山頂部。右側は北向き斜面で、森林がより発達しているのがわかる。斜面の中央やや上よりにレッドウッドが数本固まって生えているが、それ以外の針葉樹はダグラスファー。
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タマルパイス山には蛇紋岩もパッチ状に分布し、そこだけにSargent cypressが出現する。これは山頂部の蛇紋岩パッチ。背後の斜面には同じ標高でもダグラスファーが生えている。
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これは南斜面山麓の常緑針広混交林。針葉樹はダグラスファー、下層の広葉樹はQuercus agrifolia(葉がカップ状)またはQ. chrysophylla(葉が平ら)だと思われる。屋久島のスギとカシ(アカガシまたはウラジロガシ)の組み合わせとそっくり。地中海性気候であっても、夏に霧がかかる場所では森林が大きくなり、日本の照葉樹林やモミツガ林(屋久島のスギ林も)と似てくるということか。Laurel forestとは北大西洋のマデイラ諸島やカナリー諸島の常緑広葉樹林をさす言葉で、しばしば「照葉樹林」と訳される。これらの島々も気候は地中海性気候なのだが、やはり夏に霧がかかるらしい。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 05:54| Comment(0) | カリフォルニアの植生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月23日

チャパラル

チャパラル(chaparral)はウッドランドと同様の乾燥条件に成立する低木林である。樹高は2~3m程度。ウッドランドでは落葉カシが優占する場合もあるが、チャパラルの優占種はふつう常緑なので、教科書的な硬葉樹林の概念により近い。ただし、分け入るのも難しいヤブなので、「樹林」という感じではない。ある場所がウッドランドになるかチャパラルになるかは、気候よりも地質・地形や山火事に影響されているように思われる。蛇紋岩地や尾根はチャパラルになりやすい。ウッドランドが山火事で燃えるとチャパラルになり、山火事が起こらなければチャパラルはウッドランドに遷移していく。
 
これはクリアレイク周辺のチャパラルの丘。びっしり低木が茂っている。見事なチャパラル。
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これもクリアレイク周辺のチャパラル。手前ののっぺりした白っぽいところは典型的。奥ではGhost pineがまばらに混交していて、ウッドランドとの中間形を呈している。
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チャパラルの構成種は場所によって全く違うらしい。唯一広域分布するのが、このChamise(Adenostoma fasciculatum、バラ科)。上の写真で白っぽい部分でもこの種が優占していると思われる。
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針葉樹のような葉で、初めて見たときは全く科の見当がつかなかった。
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チャパラルはスペイン語でカシのヤブという意味らしい。地中海性気候の名の由来となった地中海沿岸では、硬葉樹林で優占するのは常緑カシなのだろう。しかし、カリフォルニアではチャパラルにカシは少ない。カシが多いのはウッドランドである。
 
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 11:10| Comment(0) | カリフォルニアの植生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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