2010年09月29日

広葉樹:ブナ科の低木

日本や東南アジアの森林では、ブナ科は高木と決まっている。ところがカリフォルニアではそうではない。
 
これはヨセミテ公園のGlacier Point(標高2200m)の山火事跡地。地面をびっしり覆っているのは、Canyon live oak(緑色、Quercus chrysolepis)とBush chinquapin(茶色、Chrysolepis sempervirens)。両種とも焼け残った根から萌芽再生したのだろう。日本であれば、針葉樹林の林床のブッシュと言えばツツジ科に決まっている(屋久島ではハイノキも多いが)。
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Canyon live oakのシュート。花序があるからブナ科とわかるが、ボーと見ているとツツジ科と思ってしまう。
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こちらはホイットニー山の2700m付近。Jeffrey pineの疎林の林床にBush chinquapinが生えている。左に焼けこげた木があるので、やはり山火事跡か?
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Bush chinquapinのシュート。Golden chiquapin (Chrysolepis chrysophylla)とくらべて葉が平坦で先が丸い。https://vegetation.seesaa.net/article/a865473.html参照。ともに、かつてはCastanopsis属とされていた。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 11:40| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

針葉樹:マツ科マツ属

9月のカリフォルニア訪問で、5月には見なかった6種のマツを見た。5月には5種を見た( https://vegetation.seesaa.net/article/a862853.html)。9月に見たLodgepole pineは、5月に見たBolander pineと同種だが、別亜種とされる。これで、カリフォルニア産マツ属18種のうち、11種を見たことになる。
 
Jeffrey pine (Pinus jeffreyi)。シエラネバダの西斜面高標高から東斜面中標高にかけて分布する。シエラネバダの西斜面中標高に分布するPonderosa pineに近縁で交雑可能。Ponderosa pineより低温または乾燥条件に生育する。葉はPonderosa pineに比べて青みがかる。Ponderosa pineの幹が亀甲状にひび割れるのに対しJeffrey pine の幹はたてにひび割れる。イメージ 1
Jeffrey pineの球果はPonderosa pineより一回り大きい。形はより丸っこい。Ponderosa pineと同じく三葉マツ。
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シエラネバダの高標高で優占するLodgepole pine(Pinus contorta subsp. murrayana)。幹は白っぽく、遠めに見るとほとんど平滑。近くでみると細かくフレーク状にはがれている。
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Lodgepole pineは二葉マツ。
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Western white pine (Pinus monticola)。シエラネバダの高標高に出現。イメージ 9
Sugar pine(Pinus lambertiana)に似るが、以下の点で異なる。Sugar pineの樹皮はたてにひび割れるのに対し、Western white pineの樹皮は亀甲(鰐皮)状にひび割れる。枝先から垂れ下がる球果のつき方や形はそっくりだが、Western white pineの球果の長さはSugar pineの半分ほど。Sugar pineと同じく五葉マツ。
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Whitebark pine (Pinus albicaulis)。シエラネバダのマツ属の中で、一番高標高まで分布する。樹高15mほどの低木。このように1か所から何本も生えていることが多い。動物の貯食行動が原因だと考えられている。五葉マツ。
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Foxtail pine (Pinus balfouriana)。シエラネバダの南部の高標高に分布。ヨセミテには分布せず、ホイットニー山登山道に多い。
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Foxtailという名のとおり、シュートはキツネのしっぽ、またはブラシ状。未熟な球果には短いトゲがあるが、熟すと落ちる。五葉マツで、5本の針葉がぴったりくっついた束になっている。
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Bristlecone pine (Pinus longaeva)。シエラネバダからOwens Valleyをはさんだ東にあるホワイトマウンテンズの山頂部に分布する。世界最長寿命の樹木。
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シュートは近縁種のFoxtail pineにそっくり。球果のトゲは長く、熟した後でも宿存する。Foxtail pine同様、五葉マツで、5本の針葉が束になっている。
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Pinyon (Pinus monopylla)。シエラネバダの東斜面からホワイトマウンテンズにかけてのウッドランドに分布する。カリフォルニアのマツ属で一番乾燥した環境に生育する。
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一葉マツ。種子は巨大で食べられる。ネイティブアメリカンの主要な食料だったらしい。
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ラベル:生物学
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2010年06月26日

外来種:ムラサキ科ほか

Echium candicans (Boraginaceae、ムラサキ科)。英名はPride of Madeira。タマルパイス山麓の道端に生えていたので写真を撮った。帰りによく見るとそのへんの家の庭にたくさん植えてあった。マデイラ諸島(リスボンから1000kmの北大西洋にあるポルトガル領)の固有種で世界各地に植えられているそうだ。
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典型的なムラサキ科では、個々の花は車状花冠、花序全体は巻散花序と呼ばれる渦巻き状の構造をしている。この種は車状花冠ではないが、主軸から多数の巻散花序の側枝が放射状に分枝しているのがわかる。
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Myosotis latifolia (Boraginaceae、ムラサキ科)。英名はForget-me-not、「わすれな草」ですね。ミュア・ウッズの林床に生えていたが、調べてみるとアフリカ原産の帰化植物であった。これが典型的な車状花冠。花序も花が上側だけに着く巻散花序になっている。
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ハリエニシダ
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シラホシムグラ(Galium aparine)。英名はAnnual bedstraw。ヨーロッパ原産で、日本にも最近帰化しているらしい。 アカネ科 (Rubiaceae)、フタバムグラ属の一年草。ヨセミテバレーの道ばたに生えていた。自生のBedstraw (Galium bolanderi)は、葉が4枚輪生で、花の色がmaroon、多年草。
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Jug Handleの海岸草原で咲いていたアブラナ科(Brassicaceae)2種。たぶん、手前の白いのはハマダイコン(Rhaphanus sativus、wild radish)、奥の黄色い方はアブラナ(Brassica rapa、Field mustard)。
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Verbascum sp. Figwort Family (Scrophulariaceae)。モウズイカ属。この属はユーラシア大陸に分布するので、これは帰化植物ということになるが、原産地でも似たような乾燥地に生えるらしい。Ceder Roughsで撮影。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 05:11| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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