2010年10月01日

バラ科

バラ科
 
Chamaebatia foliolosa (Mountain misery)。5月に花を見たが、9月にはもう終わっていた。花の写真はhttps://vegetation.seesaa.net/article/a866129.html
イメージ 1シエラネバダの西斜面に生え、このように林床をびっしり覆い、人馬の通行をさまたげため、Mountain miseryの名がある。ヨセミテ公園入り口手前。
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こちらはChamaebatiaria millefolium (fern bush)。上種にそっくりだが、葉が細く、もっと背が高い。シエラネバダの東斜面より内陸に生える。ホイットニー山。
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Cercocarpus ledifolius (Curlleaf mountain-mahogany)。シエラネバダ東斜面より内陸に分布する。ホイットニー山の登山道の登り始めに非常に多い。果実の先端(style=花柱)に白い毛が生えている。葉は全縁。
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日の光を浴びると白く光る。
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5月には同属のCercocarpus betuloides (Birchleaf mountain-mahogany)を見た。そちらは、カリフォルニアの山地ほぼ全域に生え、葉に鋸歯がある。https://vegetation.seesaa.net/article/a865473.html参照。

Chamaebatia foliolosaとCercocarpusはバラ科では珍しく根粒を作り、空中窒素固定をすることが知られている(Heisey et al. 1980, Am. J. Bot. 67: 429-431)。ほかにDryas(チョウノスケソウ)とPurshia(北米北西部に7種が分布)でも知られる。
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 11:26| カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マツ科モミ属:球果や樹皮など

モミ属の球果。英語では単にconeと呼んでも誤りではないが、オスのconeもあるので、厳密にはfemale coneですね。
 
White fir (Abies concolor)の球果。稚樹では葉が平面的につくのが特徴なのだが、成木になるとはっきりしない。ホイットニー山にて。
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こちらは、Red fir(Abies magnifica)。ヨセミテのTioga Roadにて。
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こちらはオスのmale cone。花粉を飛ばすが、種はできないので、球「果」とはよべない。日本語でなんと呼ぶのか知らない。White firかRed firか、どちらかわからない。ヨセミテGlacier Point手前のCentinel Domeにて。
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Red firの樹皮。
小さいときは白くて平滑なのだが、大きくなるにつれ、たてにひび割れ赤くなる。
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最終的にはこうなる。この樹皮の赤さからRed firと呼ばれる。なお、根元にびっしり生えているのはBush chinquapin(ブナ科)。以上2枚はヨセミテのTioga road。イメージ 5
西日の当たらない側には、しばしば黄緑色のコケが生える。これはGlacier Point Road。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 10:46| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

どんぐり

ブナ科コナラ属Quercusとマテバシイ属Lithocarpusの果実を「どんぐり」acornという。動物の食料として重要だし、日本の縄文人やネイティブアメリカンなど狩猟採集生活を営む人類にとっても重要な食料であった。
 
今回3種のどんぐりを見た。日本では、コナラ属のうち常緑性のものをカシと呼び、落葉性のものをナラと呼ぶ。そして、カシの殻斗(どんぐりの「帽子」)はおわんを何枚も重ねたような横じま模様なのに対し、ナラの殻斗は鱗状の突起で覆われている。ただし、ウバメガシだけは例外で、常緑なのに殻斗の表面は鱗状である。殻斗が横じまになっているのはアジア固有のグループで、Cyclobalanops属として区別されることもある。カリフォルニアのコナラ属にも常緑と落葉があるが、Cyclobalanopsは存在しない(つまり、横じま殻斗の種は存在しない)。また、中国には落葉性のCyclobalanopsもあったように記憶する(Flora of Chinaによるとすべて常緑のようです:http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108828)。なので、日本で属内の分類と常緑・落葉性の対応がよいのは偶然で、必然的な意味はないと思われる。
 
まず、常緑のInterior live oak (Quercus wislizeni)。フレズノからヨセミテに向かう途中のウッドランドにて。葉の裏が緑色で光沢がある。鋸歯はあったりなかったりだが、この写真ではたまたますべてに鋸歯がある。
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これも常緑のCanyon live oak (Quercus chrysolepis)。ヨセミテバレーにて。上種に似るが、葉の裏が白っぽく光沢がない。本種も鋸歯はあったりなかったり。殻斗に毛が生えて、ふさふさしている。
イメージ 1
 
最後に、落葉性のCalifornia black oak(Quercus kelloggii)。これもヨセミテバレー。葉が大きく切れ込み、裂片の先に数本針状のトゲがある。
イメージ 2
 
なお、ウイスキーなどを熟成させる樽の原木であるオーク(oak)もコナラ属樹木のことだが、ふつうは落葉性の種なので、それをカシと訳すのはほんとうは誤りということになる。
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 10:11| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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