2010年11月19日

ギョリュウ科

今日、チャック・デイビスさんの講演を聴きに行き、アメリカ西部にsalt cedarという植物があり、生態系に大きな影響を与えているという話がチラッと出た。もしや、と思い調べてみると、やはり私がカリフォルニアで見た植物で名前のわからなかったものがそれであるらしい。下の写真はマンザナールの日系人収容所跡に生えていたもの。一見すると針葉樹。
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シュートを見ても針葉樹に見える。しかし、アメリカ産針葉樹の本を見ても載っていない。6月にカリフォルニアに行ったときには、似た木に花が咲いていたので、それと同じ広葉樹だとは思ったが、それ以上調べあぐねていた。https://vegetation.seesaa.net/article/a865473.html
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属名はTamarix。Tamaricaceae(ギョリュウ科)。ギョリュウという名前は聞いたことはあったが、これがそうだとは気がつかなかった。ギョリュウ科はユーラシアとアフリカ原産。アメリカには自生しない。Tamarixは8種がアメリカに帰化しているらしい。
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 10:48| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月12日

針葉樹:ヒノキ科

ヒノキ属。Port Orford ceder (Chamaecyparis lawsoniana)。Crescent City近郊の蛇紋岩湿地に生えていた。Incense cederと混生していて、シュートに手が届かない大木は見分けがつかなかった。シュートを手にとって見ると、裏側にX字型の白い気孔溝(stomatal bloom)があることで同定できる。北緯41度以北に分布。ダグラスファーと混交することが多いらしい。
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こちらが樹皮。
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下の写真はEurekaから内陸に入ったWillow Creekに植えられていたもの。
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この木には実(球果)がなっていた。Cupressusと同様の「ぼっくり」。Cupressusのシュートが円柱形なのに対し、Chamaecyparisのシュートは平たい。イメージ 4
 
ネズコ(クロベ)属。Western redceder (Thuja plicata)。Arcata Marshに植えてあった。シュートの裏側の気孔溝は、ボウタイまたは蝶々模様。北緯40度以北のカリフォルニアからアラスカまでの太平洋岸に分布。カリフォルニアではレッドウッド林に混交するらしいが、見つけることができなかった。ネズコ属は世界に5種、2種が北米(もう1種はカナダ東部からテネシー州にかけて分布)、3種が東アジア(日本のネズコと朝鮮半島・四川省に1種ずつ)に分布する。
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幹が白っぽく、幹の先端部でシュートがまばらにつくのが特徴。
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参考までに。ニオイヒバ属。Incense ceder (Calocedrus decurrens)。カリフォルニアの下部山地針葉樹林を特徴付ける種。葉の裏の模様はワイングラスまたはピルスナービールグラス。
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もう1枚参考までに。イトスギ属。Cupressus sempervirensだと思う。地中海地方原産の外来種。樹形がたてに長い品種と、このように横に伸びる品種がある。前者はセントラルバレーの都市(フレズノなど)の街路樹に多い。後者は北カリフォルニアの海岸沿いの道沿いに多く植えられている。この写真はArcata/Eureka Airportのもの。
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球果は「ぼっくり」、シュートは断面が丸い。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 14:40| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

世界一高い木

カリフォルニアには世界一の木が3つある。
 
世界一大きい木。ジャイアントセコイアのシャーマン将軍 (https://vegetation.seesaa.net/article/a733176.html)。セコイア国立公園。幹の体積が世界一大きい。幹の直径が一番大きいのはメキシコのヌマスギ。
 
世界一長生きの木。イガゴヨウマツ(Bristlecone pine、https://vegetation.seesaa.net/article/a4405458.htmlhttps://vegetation.seesaa.net/article/a4434452.html)。ホワイトマウンテンズ。発見当時4789歳。まだ生きているので、2010年で4842歳になるらしい(http://www.conifers.org/pi/pin/longaeva.htm)。どの個体かは一般には公開されていない。最近、放射性同位体で調べたところ、根の部分がもっと長生きの木が見つかったらしい(スウェーデンのトウヒ)。しかし、幹の年輪が数えられたうちでは、いまだにイガゴヨウマツが世界一長寿の木。
 
世界一高い木。レッドウッド。レッドウッド国立公園。115.6m。どの個体かは一般には公開されていない。ただし、樹高測定は難しいので、どこかにもっと高い未発見個体があるかもしれない。また、成長や破損・先端部の枯死などによっても変動する。
 
今回、レッドウッドを研究されているIさんにHumboldt Redwoods State Parkを案内して頂き、100m以上あるレッドウッドを見せてもらった。
 
まず、Founders Groveにて、一般に公開されている巨木を見に行った。346.1 feetということは、105.5mです。直径は12.7 feet = 3.87m。縄文杉(直径5.2m)よりはずっと細い。
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見上げるとこんな感じ。てっぺんが見えないので実感がわかない。
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Founders Groveにはもっと高い個体(Dyerville Giant)もあったが、1991年3月に倒れてしまった。これがそのひっくり返った根の部分。倒れた後に計ったら、112.8m (370 feet)あったそうだ。川沿いの沖積地なので、雨の多い冬の間に土壌が水浸しになってしまい、強風を受けると根ごとひっくり返ることがよくあるらしい。
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続いて、すぐ近くのRockefeller Forestへ。ここには一般に公開されていない巨木がある。これがそのひとつParadox。発見当時、幹の直径のわりに高いと思われたことからその名が付いた。直径3.9m、樹高112.5m。2009年10月現在で第8位だが、世界最高が115.6mなので、世界一とほとんど変わらない(http://www.conifers.org/cu/se/index.htm)。
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見上げるとこうです。はい、100m越えの実感はないです。Iさんのように登った人にしかわからない世界があるということです。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 04:10| Comment(0) | カリフォルニアの植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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