2011年03月25日

サクラ

3月23日、鹿児島・宮崎・大分・長崎でサクラ(ソメイヨシノ)が開花したと気象庁が発表した。今年は日本でソメイヨシノの開花が一番早かったのは静岡で3月20日であった。熊本では3月21日、福岡と佐賀では3月22日に開花したので、これで九州全県で開花したことになり、平年に比べ2~4日早い(鹿児島は3日)。
 
ソメイヨシノの開花が各地の年平均気温の順番と異なるのは以下のような理由による(気象庁ホームページhttp://www.data.jma.go.jp/sakura/data/cb/sakura.html)。
さくらの開花は、春先の気温が高ければ早まり、気温が低ければ遅くなります。しかし温暖な地方では、秋から冬にかけての気温が高めに経過すると休眠打破が充分に行われず、春先の気温が高く経過しても、さくらの開花がそれほど早くならないという性質があります。
奄美・沖縄ではソメイヨシノではなく、カンヒザクラ(ヒカンザクラ)の開花が対象とされる。今年は、那覇で1月7日、石垣島と宮古島で1月17日、南大東島で1月24日、名瀬で1月30日に開花している。
 
鹿児島でも、カンヒザクラは立派に開花する(カンヒザクラはサツマザクラともいうらしい)。今年は2月下旬に大学で開花していた(写真は2月28日理学部で撮影)。「寒緋桜」という名のとおり花期が早く、まだ寒い冬のうちに咲き、色が赤い(緋色)。花の形も釣鐘状で独特。
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同じく2月下旬にカンヒザクラとヤマザクラの雑種と推定されるカンザクラも開花していた(やはり2月28日理学部で撮影)。ヤマザクラより花期が早く、色も赤みが強い。
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同じころ、うちのベランダでサクランボの木、セイヨウミザクラが満開だった(2月26日)。
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通勤路のマンションの庭先でしばらく前から満開になっていたサクラ(3月25日撮影)。
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調べてみると、これもカンヒザクラ(タイワンヒザクラ)が片親の雑種で、ヨウコウザクラというらしい。もう一方の親はオオシマザクラとエドヒガンの雑種「アマギヨシノ」。花期がやや早く、花の赤みが強く、下向きに咲くところがカンヒザクラから受け継いだ形質と思われる。
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なお、アマギヨシノは オオシマザクラとエドヒガンの雑種なので、ソメイヨシノと同じ起源をもつ。そもそも、ソメイヨシノの起源の研究のため作出されたという。
ヨウコウザクラを作ったのは、愛媛県「伯方の塩」の初代社長らしい。http://www.hakatanoshio.co.jp/shintyaku/detail.php?rec=71
 
カンヒザクラを片親に持つ品種で、有名なのがカワヅザクラ。カンヒザクラとオオシマザクラの雑種だとされる。こちらはカンヒザクラと同じぐらい花期が早い。鹿児島でも何か所かに植えられれているが、今までその存在を知らなかった。今になって見に行ったが、とっくに花は終わっていた(3月28日)。葉の鋸歯が激しいところがオオシマザクラに似ている。
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農学部正門横のヤマザクラの大木は今が満開。3月25日撮影。
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ソメイヨシノは開花し始めたばかりなので、ヤマザクラのほうが花期が早い。ソメイヨシノでは花が葉よりも先に出るのに対し、ヤマザクラでは花と葉が同時に出る。ただし、ソメイヨシノも満開を過ぎると葉が出てきて「葉桜」になる。ヤマザクラの葉はふつうこのように赤っぽい(ただし、個体差があり、ほとんど赤くないものもある)。萼片には鋸歯がなく、萼片から花柄まで毛が全くない。そして、個々の花柄のおおもとの総花柄がはっきり見えているのが特徴。
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理学部周辺には正体のはっきりしないサクラが多数ある。葉と花が同時に出ているところはヤマザクラ的である。しかし、萼片に鋸歯があり、花柄にはうっすら毛が生えていて、総花柄も見えていないので、ヤマザクラそのものではない。堀田満名誉教授が、ソメイヨシノとヤマザクラの雑種と考えたものではないかと思われる。紫原の桜並木の中から種子をとって育てたものを学内に植えこんだそうだが、花にはいろいろな変異があるそうである。3月25日撮影。
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この個体は花に白から淡いピンクまでの変異があり、特に美しい。
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で、肝心のソメイヨシノはこちら。萼片から花柄まで毛が生えている。この写真でははっきりしないが、萼片の縁には鋸歯がある。3月28日工学部電気電子工学科。だいぶ花数が増えてきた。
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これは、花と葉が同時に出て、花柄も萼も無毛で萼片に鋸歯があり、葉の鋸歯の先が針状に伸びているので、オオシマザクラではないかと思われる。3月29日工学部海洋土木工学科。
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エドヒガンのシダレザクラ。エドヒガンはソメイヨシノの片親で、鹿児島の大口市の山奥に巨木がある。子房がぷっくりふくれるのが特徴で、萼から花柄まで毛が生えている。4月11日撮影。ソメイヨシノはもう葉桜になりつつある。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 21:55| 日本の(で見た)植物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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