2010年06月20日

山地針葉樹林

おもしろかったもう一つの場所は、ヨセミテ国立公園のMaliposa Groveです。ヨセミテの中心部Yosemite Valleyから車で南に1時間ほどの場所です。ヨセミテで唯一?ジャイアントセコイア(Sequoiadendron giganteum)が見れる場所で、Grizzly Giantという巨木があります。しかし、おもしろかった理由はそのためではなく、ジャイアントセコイア以外の針葉樹が多数混交していたことです。マツも2種ありました。左側の葉が短くて緑色が鮮やかなのが五葉松のSugar pine (Pinus lambertiana)、右側の葉が長くてくすんだ色のほうは三葉松のPonderosa pine (Pinus ponderosa)です。前者は高標高に多く、後者は低標高に多いのですが、ちょうどここでは両者が共存しています。
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Sugar pineの松ぼっくりはとてつもなくデカイ!下から見上げてもはっきりわかります。
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ここでは、最近山火事が起こったようで、山火事跡の谷部のギャップでジャイアントセコイアの稚樹が育っていました。ジャイアントセコイアの世代交代には山火事が必要だそうで、近年は山火事を防ぐことはせずに、山火事が起きても放っておくようです。ギャップでしかも土壌が湿った条件というきわめて特殊な条件が必要なわけですから、ジャイアントセコイアの分布がごく限られているのも当然です。写真ではわかりにくですが、ジャイアントセコイアの稚樹のまわりは雪解け水で水浸しになっていて、トクサがびっしり生えています。イメージ 2
一番の優占種はWhite fir (Abies concolor)、下層に多いのはIncense ceder (Calocedrus decurrens)です。5種もの針葉樹が同所的に共存していることになります。広葉樹は人の背丈以下のものしか見かけませんでした。文字通りの針葉樹林です。
 
ヨセミテは純粋に景色だけ見ていてもすばらしいです。さすがにアメリカ屈指の観光地だけのことはあります。下の写真がYosemite Valleyです。あ、野暮なことを言わせてもらうと、この谷を埋め尽くしている針葉樹のほとんどはponderosa pineだと思われます・・・。この見事なU字谷は、氷河によって形成されたそうです。むき出しになっている岩は花崗岩です。屋久島の千尋の滝を思い出します。屋久島の場合は氷食ではなく「雨食」地形ですが・・・。
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ラベル:生物学
posted by なまはんか at 10:12| Comment(0) | カリフォルニアの植生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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