ボストンには偉い人たちがいろいろ住んでいた。その名残がいろいろある。
ハーバード大学の植物学者で一番有名なのはアーサ・グレイだろう。北米東部と東アジア(日本や中国)の植物相の共通性を研究したことで有名。ソローと同時代人で、二人が会ったという証拠はないが、素人植物愛好家のソローはプロの植物学者グレイの著作を読んでいたらしい(チャック・デイビスさんの講演)。https://vegetation.seesaa.net/article/a10359339.html参照。
ハーバード大学の植物標本館はグレイの名を冠していた(Gray Herbarium、略してGH)。現在では、アーノルド樹木園(植物学ではAと略される)の植物標本館と合併して、ハーバード大学植物標本館(Harvard University Herbaria, HUH、植物学的にはA/GH)と呼ばれている。これが、HUH内部にあるグレイの横顔のレリーフ。建物内部は一般の人には公開されていないので、ふつうは見ることができない。

屋久島のスギの切り株にその名を残すウィルソンとその家族の肖像写真。アーノルド樹木園のビジターセンターに飾ってあった。日本には1914年に来て、針葉樹の研究をした。その結果は、1916年にアーノルド樹木園から発表されたThe Conifers and Taxads of Japanにまとめられている。その中に次のようなくだりがある。
...To me the most interesting and remarkable forest in all Japan is this on Yakushima, where the Cryptomeria has its southern home...
1927年には、アーノルド樹木園の実質的な園長(keeper)になった。もともとプラントハンターなので、出身地の階級社会イギリスでは、こんなに出世はできなかったかもしれず(教育歴を見ると上流階級出身ではないように見える)、アメリカン・ドリームを体現していると言えるかもしれない。そのわずか3年後の1930年に夫人とともに交通事故で亡くなった。日本よりも中国で長く植物採集をおこない、むしろそちらで知られる。通称Ernest Henry 'Chinese' Wilson。ハンカチノキを再発見したことでも有名。

ハーバード大学の名前の由来になったジョン・ハーバードの像。ハーバード・ヤード(ハーバード大学の敷地内)にある。観光客がつま先に触るので、そこだけ色が変わっている。ハーバードは正確にはハーバード大学の創設者ではなくパトロンの一人であり、写真が残っていないのでこの銅像は適当に選んだ学生をモデルにしており、台座に書かれた大学創設の年が間違っている、という「」3つの嘘」の像として有名。

クインジー市場にあるサミュエル・アダムスの像。ボストンの地ビールの名前として有名。

ラベル:北アメリカ