2010年11月07日

ケープコッドの地形:氷河と海流が作った

アメリカ北東部の海岸~平野部の植生を見たい、ということで、ボストンと同じマサチューセッツ州南部にある、ケープコッド(Cape Cod)に行ってきた。ボストン出身の故ケネディ大統領の休暇先として有名。
 
ケープコッドは、ボストンから南に車で1時間ほど。力こぶを作る時の人の腕のような形で大西洋に突き出ている半島である。この半島は17000年前まで存在した大陸氷河(Wisconsin Stage Glacier)の先端部であり、その大部分は氷河の下流側にできた沖積地(outwash plain)として形成された。半島の内陸部には氷河が削り取った堆積物が積み上がったモレーンがある。モレーンは氷河の先端部に帯状に形成されており、モレーンの帯をたどると、マーサズ・バニヤード島などを経て、ニューヨークのロングアイランドに至る。
 
この地図で、茶色の部分が沖積地、オレンジの帯がモレーン。黄色い部分は後から海流によって付け加わった砂地(腕の先端のこぶし部分、ひじの外側など)。
イメージ 1
 
上の地図を見てもわかるように、沖積地の部分には円形に近い形の池が多い。これはkettleと呼ばれ、氷河の先に孤立して存在した氷の塊が溶けたあとにできたものとされている。下の写真は、「手首」の東側のPamet海岸で見た小さなkettle。奥に広がるのは大西洋。イメージ 2
 もっと大きいkettleもたくさんあるが、全体を1枚の写真に収めるのは無理。池の一部だけ写真をとってもその丸さはわからない。kettleのでき方がイメージしづらい方は、下の看板を見てください。イメージ 3
 
同じPamet海岸の写真(2枚上の写真のすぐ北側)。海岸が浸食されて切り立った崖になっているのがわかる。イメージ 5
 
これはPamet海岸の南側、「ひじ」のやや上の大西洋側に位置するNauset Marsh。一番海側に細長い白い砂地の部分(Nauset Spit)があるのがわかるだろうか?沿岸に沿って流れる海流によって、湾をふさぐように砂州(spit)ができ、その内側に汽水湿地(marsh)が形成された。Fort Hill Trailから撮影。イメージ 4
つまり、Pamet海岸で削られた土砂が海流で南に運ばれ、Nauset Spitに付け加わっていることになる。このように、ケープコッドには、今まさに浸食されつつある部分と、逆に拡大しつつある部分とがある。
 
モレーンをぜひ見てみたいと思ったが、わかりやすいものは見れなかった。できたのは2万年近く前なので、浸食されてわかりにくくなっているのだろう。下の写真はkettleを半分埋めるように形成されたモレーン(右側の急斜面の湖岸)。Hyannis(Barnstable)のNorth Hathaway Pond。
イメージ 7
モレーンの部分を歩くと、このように丘の上に露岩が点在しており、確かにそうなのだと実感できた。
イメージ 6
なお、モレーンとそうでない場所とで、、生えている樹木に特に違いはないようだった。優占種はナラとマツで、二次林だと思われる。
ラベル:北アメリカ
posted by なまはんか at 02:39| Comment(0) | ケープコッド・ウォールデン湖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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