Eurekaとその北隣の街Arcataは、細長い砂州で外海と隔てられたHumboldt湾という潟湖(lagoon)に面している。その砂州には何重にも砂丘(dune)があり、波打ち際から奥の砂丘に向かうにつれ、徐々に植生が発達していくのが見れる。一番左が太平洋で、海から遠ざかるにつれ低木のブッシュができ始め、一番右側のHumboldt湾側には連続した森林が成立している。手前に砂の川のような部分があるが、これは海風によって移動する飛砂(moving dunes)である。川とは逆に海から内陸に、低いところから高いところへ向かって流れる。

海に近い低木の茂みに近づいてみると、Sitka spruce(シトカトウヒ)が海風によってkrumholtz状になっていた。ただし、本当に低木なのか、高木が埋まったあとの成れの果てなのかは、砂を掘ってみないとわからないだろう。

これが一番奥の砂丘。砂丘上にはうす緑のBeach pineが生え、砂丘の背後には深緑色のSitka spruce(シトカトウヒ)が森林(Coniferous dune forest)を形成する。

飛砂は内陸側のシトカトウヒ林へと流れ込んでいく。砂の重みで幹が折れるのか、根が窒息するのか、砂に埋もれた木は枯れていく。運良く生き残ったものが、海岸に近い砂丘上に点々と生える「低木」の正体なのかもしれない。

東三郎「地表変動論」(p. 223-224)によると、日本でも下北半島太平洋岸(「地表変動論」には日本海岸と書いてあるが・・・)に似たような場所があるようだ(猿ヶ森ヒバ埋没林)。ただし、1936年に飛砂防止のためにクロマツやアカマツが植栽されているらしい。
なお、Humboldt湾は、ドイツの博物学者Alexander von Humboldtにちなんで命名されたが、Humboldt自身がここに来たことがあるわけではないらしい。
ラベル:生物学
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