2010年10月03日

森林限界付近の樹木

ワシントン山では、バルサムモミ(Balsam fir)が針葉樹林帯から森林限界まで優占し続ける。まず、針葉樹林帯の中の風当たりの強い尾根で、このような偏形樹(flagged tree)となる。
イメージ 1
 
標高があがりクルムホルツ帯に入ると、密度がまばらになり、バルサムモミの間にツツジ科の低木や草が混じるようになる。バルサムモミは梢の先端が枯れて横に広がった樹形になる。
イメージ 2
 
上の写真の下のほうに近づいて撮った写真。葉の大きいほうはイソツツジ属(Labrador tea、Ledum groenlandicum)。葉が小さくて赤い実がなっているのはMountain cranberry (Vaccinium vitis-idaea)、なんと日本のコケモモと同種。そのほか、イワウメ・エゾノツガザクラ・ミネズオウなども日本の高山帯との共通種。
イメージ 5
 
クルムホルツ帯には、ダケカンバによく似たPaper birch (Betula papirifera)も出現するが、日本のダケカンバ帯のように独立した森林帯を作ることはない。
イメージ 3
 
日本の森林限界付近にはミヤマハンノキも多いが、ワシントン山でもMountain alder (Alnus viridis)が出現する。ただし、決して多くはない。上と同じカバノキ科の落葉樹だが、こちらはまだ青々としている。窒素固定することが関係しているのだろうか?鹿児島の桜島でも、ヤシャブシは秋遅くまで緑のままだが、ミヤマハンノキではどうなんだろう?イメージ 4
 
このように、出現する種はよく似ているのだが、日本の森林限界とはかなり異なっている。このほか、森林限界付近には、ヤナギ属の矮性低木が5種も出現するらしいが、見つけることができなかった。もう落葉していたのかもしれない。
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 12:57| Comment(0) | ホワイトマウンテンズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください