ホワイトマウンテンズの北方広葉樹林(northern hardwood forest)。標高610m(2000feet)以下に分布する。ただし、この標高帯でも、針葉樹が優占することがある。ホワイトマウンテンズ東部のBlueberry Mountainでそれらの代表例を見ることができた。
これが、南麓(335m=1100feet)から見たBlueberry Mountain。山頂の標高は543m(1781feet)。

山麓の平地では、Eastern white pineが広葉樹の林冠から突き出て生えていた。下層には、Eastern white pineとともにBalsam fir、Red spruce、Tsuga canadensisの稚樹が多い。

標高460m(1500feet)までは落葉広葉樹林が広がる。林内は明るく、林床植生が発達する。アメリカで初めてアメリカブナが優占する森林を見た。中央の幹が白っぽい木がアメリカブナ。

ただし、谷沿いの急斜面にはツガ林が存在する。林内は暗く、林床植生はほとんど存在しない。

標高460m(1500feet)から山頂直下にかけての急斜面には、トウヒのほぼ純林があった。

これが山頂部(543m=1781feet)。岩がむき出しで土壌が未発達なためか、針葉樹が優占し下層にツツジ科のVaccinium(blueberrry)などが優占するヒース林になっている。

山頂部は台地状になっていて、ところどころ水がたまって湿地になっている。白いのはcotton sedge。一番多い針葉樹はRed spruce(写真の右端)、次に多いのは矮性化したEastern white pine(写真中央部に多数見える)、そして、たまにRed pineが混じる(写真左はし)。Eastern white pineは葉が白っぽくて細い。Red pineは葉が濃緑色で太い。山頂部にBalsam firはほとんどなかった。

湿地には数本だけアメリカカラマツtamalack larch(Larix laricina)が生えていた。ホワイトマウンテンズでは、おもに湿地に出現するが、Mount Avalon(標高3442feet=1050m)の山頂でも1本だけ見た。気候的には生育可能なはずだが、なぜかワシントン山の山頂部にはない。ほかの樹種が生育しずらい場所に、たまたま種子が到達した場合にだけ出現するのだろう。生態学でmass effectと呼ばれる現象。

山頂部から南東を見たところ。谷に沿って帯状にツガ林が分布する(やや茶色がかった濃緑色)。その上流側と右側の斜面上方にはトウヒ林がある(黒っぽい濃緑色)。ただし、ツガ林が存在するのは谷の片方の斜面だけ(西向き斜面、谷の左岸)。谷の左岸のほうが傾斜が急なので、方位よりも傾斜のほうが重要かもしれない。

ラベル:生物学
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