マサチューセッツ州の北隣、ニューハンプシャー州(NHと略す)にあるホワイトマウンテンズに行ってきた(東側のごく一部はメイン州)。主峰はワシントン山(Mt. Washington)で標高1917m(6288feet)。ノースカロライナ州(ミッチェル山やグレートスモーキーがある)より北のアパラチア山脈北部で一番高い。つまり、アメリカ北東部で一番高い山。北緯44度(北海道の大雪山と同じぐらい)とかなり北に位置するため、氷河地形が発達する。頂上に気象観測所があり、世界最速の風速が観測された場所として有名。
Crawford Notchの入り口(下の写真のU字谷のずっと奥)から見たワシントン山南面。頂上にアンテナが立っている。山頂部ドームの下は台地状になっている。台地の左にあって右側がえぐれているピークはモンロー山(Mt. Monroe、5372 feet=1637m)。ワシントン山頂の下、台地の下のごつごつした岩が白く見える部分は、圏谷(カール)のOakes Gulf。ワシントン山の南にあるが、山塊の主稜線(ワシントン山~モンロー山)に対しては東斜面に位置する。モンロー山は羊背岩(sheepback)と呼ばれる形をしている。氷河の上流側がなだらかで下流側がえぐれた岩のことである。ここでは、氷河が左(北西)から右(南東)に流れたことになる。キナバル山のサウスピークも同じような形をしている。

ワシントン山を代表する圏谷のひとつ、Huntington Ravine。すぐ左(南)側の雲の中にワシントン山の山頂部ドームがある。谷の上の稜線は約5500 feet(1676m)で、そこから一気に1000feet(300m)落ち込んでいる。

ワシントン山の北側、アダムス山(5799 feet=1768m)とマディソン山(5366 feet=1636m)の間にあるMadison Gulf。これも東斜面の圏谷。Auto roadの起点(1600 feet=488m)から見たところ。

Mt Avalon山頂(3442 feet=1049m)から見た、ワシントン山の西斜面。一番右側のピークが山頂。東斜面のような圏谷は見られない。東斜面は大西洋に面していて降雪量が多いが、西斜面は降雪量が少ないためである。広大な皿状の地形だが、地形図を見ると浅いV字谷(氷河ではなく、河川による侵食地形)が多数存在している。

これもMt Avalon山頂から見た、U字谷のCrawford Notch。直線部の長さは約3km。川が光って見える谷底の標高は約1250feet(380m)。上に紹介した山頂部の圏谷は山頂部に積もった雪に由来する山岳氷河(谷氷河)によるが、このU字谷は北アメリカの平野部を広く覆っていた大陸氷河によって形成されたと考えられている。

ラベル:北アメリカ
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