国立公園のパンフレットでは、広葉樹林をnorthern hardwood forestとCove hardwood forestに区別し、前者は標高1370m(4500feet)以上に分布し、後者はそれ以下の土壌の肥沃な谷部に分布するとされる。前者の優占種はアメリカブナAmerican beech (Fagus grandifolia)とYellow birch (Betula alleghaniensis)で、カエデ属(Acer spp.)やwhite basswood (Tilia americana)やyellow buckeye(Aesculus flava)も混じる。後者ではこれらすべてに加えて、tuliptree (yellow poplarとも呼ぶ、 Liriodendron tulipifera)、eastern hemlock (Tsuga canadensis)、モクレン属(Magnolia spp.)、ヒッコリー属(hickory、 Carya spp.)なども混交する。前者の構成種は後者の構成種の部分集合であり、後者の構成種の中でより低温・貧栄養な条件に適応した種だけが前者の構成種となっている。
私が今回歩いた範囲でnorthern hardwood forestに相当するのは、Chimny tops trailで、標高1000~1400mの範囲である。Trailは起点からずっと谷沿いを走り、Yellow birchとYellow buckeyeが圧倒的に多かった。尾根にとりつくまでの斜面はEastern hemlockが、尾根に達するとRed spruceが多かった。アメリカブナが優占する林分は観察できなかった。
これはTrailの起点近く、Yellow birchが優占する沢沿いの林分。

沢をずっと登って、斜面に移る手前の谷部。Yellow buckeyeの優占する林分。

沢から斜面に出るとHemlockが多くなる。ただし、ほとんどカイガラムシにやられて枯れている。これはかろうじて生きているHemlockの大木。左右の緑の濃い若木はSpruce。

Chimny tops頂上の岩場から稜線を見たところ。Spruceが尾根沿いに生えている。左斜面にHemlockの枯れ木が点在する。ただし、Spruceも枯れていることがあるので、よく見ないとどちらかわからない。稜線の枯れ木はSpruceのほうかもしれない。大気汚染が原因かもしれない。

ラベル:生物学
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