Clingman Domeへの遊歩道で山頂部のトウヒ・モミを観察した(標高1900~2024m)。優占種はトウヒ属のRed spruce (Picea rubens)とモミ属のFraser fir (Abies fraseri)。45年前にヨーロッパからの輸入された苗についていたBalsam woolly adelgid(カサアブラムシ科)によって、Fraser firの成木のほとんどが枯れた。白く立ち枯れているのがそれ。ところどころ残っている針葉樹の大木はすべてRed spruce。向こうの斜面ほぼ中央に草原が見えるが、これらは'bald'と呼ばれ草食獣によって維持されてきたと考えられている。

ただし、Fraser firの稚樹は旺盛に生育しているので、絶滅の心配はなさそう。頂上にある展望台から撮影。

これがRed spruce。球果が枝から垂れ下がる。 アパラチア山脈の高地からカナダ南東部にかけて広く分布する。

こちらはFraser fir。球果が枝から上に直立する。Fraser firは、バージニア・ノースカロライナ・テネシー3州にまたがるアパラチア山脈南部、標高1200m以上にだけ分布する。アパラチア北部からロッキー以東のカナダには別種のBalsam fir(Abies balsamea)が分布する。

Red spruce(左)は、シュートが細くて黒っぽい。Fraser fir(右)は、シュートが太くて白っぽい。

この写真ではRed spruceが右で、Fraser firが左。

日本の亜高山帯の森林によく似ている。ナナカマドやオオカメノキにそっくりな種がある。こちらはSorbus americana (American mountain-ash)。

これはViburnum lantanoides (hobblebush)。

ラベル:生物学
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