なぜだか気に入るフレーズというのがある。
「泥のように眠る」とか。
「畏友xx君」とか。
まあ、ふだん生活していて使う機会はなかなかないですが。
本や映画のタイトルでもそういうのがあって、内容は大したことはなくてもタイトルだけはいつまでも覚えていたりする。
そのひとつが「生半可な学者」。
元本は柴田元幸、白水社、初版は1996年。内容は50編あまりのエッセイをまとめたもので、「生半可な学者」はそのうちの1編のタイトルであり、このタイトルが内容を代表しているわけではない。あとがきによると、「それぞれの文章につけた題名のなかから、書名としても一応それらしいやつを選ぶことにした」という経緯らしい。著者は東大の教員なので、そういう意味では著者の自虐的な自己紹介になっているのだが、そのことは著者の意識にのぼったのだろうか?後でつけくわえられたあとがき(Uブックス版によせて)には「教師業から生まれた嬉しい副産物」と書かれている。
私自身は、自分を表すのにこれ以上の言葉はないと思ってたいへん気に入った。このエッセイはいま読み返してもおもしろいけれども、やはり大学教員であった土屋賢二のエッセイ集と共通する笑える(爆笑、または微苦笑)おもしろさであって、感動する(心揺さぶられる、泣く)ような深いおもしろさではない(funnyではあるがinterestingではない)。
そんなわけで、ペンネーム?は「なまはんか」になってます。
タイトルもよくて内容もよかったのは、「存在の耐えられない軽さ」の映画かなあ。原作の小説は読んでないけど。最近の映画は英語タイトルをそのままカタカナにしたのが多くて殺風景ですね。昔のヘビメタバンドのアルバムタイトルの邦題もあれはあれでどうかと思うが(マイケル・シェンカーの「神」とか)。
白水社Uブックスには、そのほか「ライ麦畑でつかまえて」「聖なる酔っぱらいの伝説」(これも気に入ったフレーズ、映画もよかった)などがある。
ラベル:ノンフィクション、エッセイ