2012年11月13日

コッツウォルズ中部~南部

コッツウォルズ(Cotswolds)はイギリスの「伝統的いなか」(地球の歩き方)として人気のある観光地である。イングランド南西部、ブリストル海峡(ウェールズとコーンウォール半島の間)のすぐ東に位置する丘陵地帯である。すぐ西は大西洋なのだが、ロンドンから車で2~3時間でいける。テムズ川の源流があるのもここである。
 
コッツウォルズ丘陵はチルターン丘陵と同様に、北東~南西方向に長く、北西端が急斜面で終わり、南東に向かって徐々に低くなっていく。ロンドンから西にテムズ川をさかのぼっていくと、チルターン丘陵の南端レディングを過ぎてから北に向かいオックスフォードに至る。オックスフォードからは再び西に向かい、コッツウォルズのほぼ中心サイレンセスターの南西に水源(Thames Head, 標高約100m)がある。
 
コッツウォルズの最高点はチェルトナムの北東に位置するCleeve Hillである(標高330m)。丘の北西は急斜面で終わる。これはコッツウォルズ丘陵全体の北西端でもある。下にチェルトナムのあるグロースター平野(標高約50m)が見える。画面中央の木立は、2枚おいて下の遠景写真で見える木立。右側の牧草地の中に常緑のハリエニシダの小さな茂みが見える。この写真には写っていないが、柵の左側には広い面積のハリエニシダの藪があった。
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最高点は丘の縁からやや奥にあり、丘の上の平坦面にあるので眺望はない。地図によると、この羊が放牧されている一角の中央付近と思われる。
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丘から南東方向(ロンドンのある方向)を見ると、このように徐々に低くなっていく。
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南方のLeckhampton Hill(後述)から見たCleeve Hill。最高点は右端近く。突き出た木立(1枚目の写真に移っている)の右側の平坦部。ハリエニシダが生えているので稜線は濃い緑色。手前はチェルトナムの市街地。
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Leckhampton Hillの西の急斜面には、Devil's Chimneyと呼ばれる奇妙な岩がある。下にはチェルトナムの街が見える。イメージ 5
成因は定かでない。自然にできたという説(Forty 2010)と、この斜面は石切り場(quarry)の跡地であり、石切り職人たちが遊び心で(as a joke)切り残したという説(Wikipedia)がある。
 
Devil's Chimneyのすぐ横には明らかな石切り場跡があった。崖の上の平坦部がLickhampton Hill(標高293m)。白亜紀起源のチョークの崖と同じように地層の横じまが見えるが、コッツウォルズの石灰岩はジュラ紀に起源があり完全に石化している。イングランドのジュラ紀石灰岩はooliteと呼ばれ建築材として広く用いられた。
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「最も古い町並みが保存されている村」、Castle Combeの建物。コッツウォルズの南部。
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「イングランドで一番美しい村」、Biburyの建物。コッツウォルズの中部。
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この2か所とも、石灰岩は蜂蜜色というよりやや白っぽい。コッツウォルズ北部に行くともっと蜂蜜色になる(https://vegetation.seesaa.net/article/a14339031.html)。
 
Biburyにある水車小屋Arlington Millの屋根部分。屋根は石灰岩の薄い板で葺いてある。出窓部分は壁も同じ石灰岩の板を使っている。
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水車の動力を使って、羊毛で織られた衣類の仕上げの洗浄(fulling)を行っていたそうだ。BiburyにはArlington Rowという長屋もあって、そこには織り子たちが住んでいたそうな。もちろん羊毛は、コッツウォルズの牧場の羊から取られたもの。
 
Cotswoldsのwoldは古い英語で森を意味し、ロンドンの南の堆積岩地帯wealdの語源と同じである。Wikipediaによると、Weald is specifically a West Saxon form; wold is the Anglian form of the word.だそうな。ドイツ語だとWaldですね。
 
1日であちこち行ったので疲れた。走行距離は260マイル=418km。朝7時にヒースロー空港を出て夜7時着。家を出たのは5時(4時半起床)で帰宅は8時すぎ。帰りはオックスフォードの手前で渋滞あり。
ラベル:ヨーロッパ
posted by なまはんか at 05:52| イギリスの自然 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする