2012年10月09日

キリマンジャロの森林限界

キリマンジャロの森林限界は3000m付近にあり、意外に低い。気温だけで決定されているわけではないだろう。山地林の中央部で最大となった降水量はそれより標高が上がると減少していく。乾季にはほとんど雨が降らないので、年降水量から予想されるよりも乾燥の影響は大きく、山火事も起こりやすい。おそらく山火事がキリマンジャロの森林限界の形成要因として一番重要だと思われる。
 
西斜面(登山口は2400m)では山地林の下部ではPodocarpusが優占するが、2700m付近まで来ると森林が鬱閉しなくなり、大木に焦げ跡が見られるようになる。
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Forest Camp (2800m)を超えるとJuniperusが優占するようになるが、枯れた大木が残っているのを目にする。
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標高3000m付近で急に森林が終わり、ヒースへと移り変わる。移行部にはJuniperusの稚樹が生えている。森林の上限が少しずつ前進しているように見える。一番右手前に生えているのはEricaで、ここからヒースとなる。
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森林限界からしばらく進んだ3100m付近。完全にヒースの中だが、振り返ると尾根の上にJuniperusが1本だけ生えている。山火事で焼け残ったのか、森林からの種子散布で新たに生えたものなのか、どちらだろうか?
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西斜面の森林限界を上から眺めたところ。はるか下方の茶色っぽいところはサバンナだが、それより上では斜面の森林からShira Plateauのヒースへと急に移り変わっているのがわかる。不連続な変化のしかたはスコットランドの森林限界に似ている(https://vegetation.seesaa.net/article/a14002989.html)。スコットランドは放牧の影響の可能性もあるが、やはり山火事のせいかもしれない。
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南斜面でもMweka Campのすぐ下の3000m付近で多雨林からヒースへと急激に変化する。湿潤な南斜面にはJuniperusは出現せず、森林限界に近づくとPodocarpusに樹高10mほどのEricaが混じるようになり、やがてEricaの純林となって樹高が5m以下となり完全なヒースになる。
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南斜面の森林限界を上から見たところ。西斜面よりはヒースの樹高が高く、徐々に森林からヒースに移行しているように見える。Mweka Camp(3080m)のレンジャー・ステーションの屋根が見えている。
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乾燥した西斜面と湿潤な南斜面で森林限界の高さは変わらず3000mである。ただし、西斜面ではPodocarpusの優占は2800mで終わるので、もし西斜面にJuniperusが存在しなければそこが森林限界になっていたかもしれない。乾燥した西斜面ではPodocarpusとEricaの間に乾燥した条件でも高木になれるJuniperusが入り込むことで、南斜面より乾燥した条件にありながら、森林限界の高さが南斜面と同じになっているのかもしれない。
ラベル:アフリカ
posted by なまはんか at 20:46| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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