2012年10月07日

ヒース帯3000~4000m(下部)

ヒース(heath)というのは日本人になじみの薄い言葉である。もともとはヨーロッパ(イギリスのスコットランドなど)のヘザー(heather, Calluna vulgaris)が優占する低木林を意味する。日本語にすると「低木林」となってしまうが、ヒースはふつう森林には含めない。森林の定義は樹高5m以上とするのがふつうなので(FAOやUNESCOの定義)。ヘザーはツツジ科の常緑低木で、葉が小さい。小さい葉がびっしりついた枝がまっすぐ伸びるので、遠目に見ると針葉樹のように見える。キリマンジャロのヒースで優占するErica属もツツジ科の常緑低木であり、ヨーロッパのヘザーにそっくりである。
 
下の写真はForest CampからShira Ridge(3600m)を越えて、Shira 1 Camp(3500m)へ向かっていくところ。背丈ほどのEricaが優占する。
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ヒースは繰り返し起こる山火事で維持されているのかもしれない。焦げ跡のある株を見かけた。Shira Plateau3600m付近。うしろはShira Ridgeのピークで3962mある。ちょうどカルデラのど真ん中付近で乾燥しているのかもしれない。
イメージ 2
 
同じShira PlateauをKiboのMoir Hutに向かって3900m付近まで登ったところ。Shira Ridgeと同じぐらいの標高まであがったので、先ほどよりは湿っているのだろう。サルオガセがついたEricaは、キナバル山の山頂部のLeptospermum recurvumに似ている。
イメージ 4
 
典型的なヒースでは、Ericaが密生するのでDendrosenecioが生える余地はない。ここでは例外的に谷間にDendrosenecioが生えている。急斜面でギャップのようになっているのだろう。Mwekaルート3500m付近。
イメージ 3
ラベル:生物学
posted by なまはんか at 01:16| タンザニア(キリマンジャロほか) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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