ロンドンの北西に位置する石灰岩の丘陵地帯チルターンには、放牧地、農地、森林がモザイク状に組み合わさった里山的景観が見られる。イギリスの中でも森林がまとまって存在する数少ない地域である。優占種はヨーロッパブナだが、ほかにもいろんな樹木が生育している。ヨーロッパの森林は日本に比べて多様性が低いのだが、思っていたよりは種数が多い。
一番個体数が多いのはサンザシ(Crataegus monogyna、英名hawthorn、バラ科)であろう。生垣(hedgerow)を構成する代表的な低木。放牧地や農地が森林に遷移していく過程の二次林にも多い。耐陰性が低いのか発達したブナ林の下層には見られない。

道端に多く、生垣に混じり、たまに庭にも生えているニワトコ(Sambucus nigra、英名elder、スイカズラ科)。

二次林でしばしば優占するアオダモ(Fraxinus excelsior、英名ash、モクセイ科)。

ブナ林の低木で一番多いのはハシバミ(Corylus avellana、英名hazel、カバノキ科)。切られても萌芽するので、繰り返し伐採される萌芽林(coppiced woodまたはcoppice)の代表的低木。かつてチルターンはロンドンへ燃料用の薪を供給していたという。

クロウメモドキ(Rhamnus catharica、英名buckthorn、クロウメモドキ科)。

セイヨウヒイラギ(Ilex aquifolium、英名holly、モチノキ科)。ほとんどの広葉樹が落葉性のイギリスの森林では例外的に常緑の低木。遷移が進んだブナ林の林床に生える。二次林では見かけない。赤い実がついた枝はクリスマスの飾りでおなじみで、庭にもよく植えられている。モチノキ科なので、葉が互生する。日本産だとアマミヒイラギモチというのが同じような葉をしている。日本のヒイラギは対生でモクセイ科なので、他人の空似。

ウラジロノキ(Sorbus aria、英名whitebeam、バラ科)。葉の裏に白い毛が密生しており、風にそよぐと樹冠が白銀色に輝いて遠めにもよく目立つ。林縁に多い。
ガマズミ(Viburnum lantana、英名Wayfaring tree、スイカズラ科)。

ニシキギあるいはマユミ(Euonymus europaeus、英名Spindle、ニシキギ科)。

イバラ(Rosa canina、英名dog-rose、バラ科)。イギリスのイバラの種数は多い。ピンクの花をつけるのも何種かあり、同定に自信がないが、花の直径が3~5cmと大きいのがdog-rose。

ラベル:生物学
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